【日経平均株価、TOPIXともに続落】
■ギリシャ政局不透明感とユーロ圏債務危機問題再燃を警戒も
10日は、日経平均株価が前日比35円41銭(0.39%)安の9009円65銭と続落した。TOPIXは前日比0.41ポイント(0.05%)安の765.42と小幅に続落した。ギリシャの政局不透明感やユーロ圏債務危機問題の再燃に対する警戒感を強めた。日経平均株価は取引時間中に9000円台を割り込む場面があった。
終値ベースで見ると、日経平均株価は9000円台を維持したが2月13日(8999円18銭)以来の安値水準、TOPIXは2月3日(760.69)以来の安値水準だった。
日経平均株価の日中値幅は89円73銭だった。東証1部市場の売買代金は概算で1兆1473億円となり、前日の1兆1941億円に比べて減少したが4営業日連続で1兆円を上回った。
前日9日の米国株式市場で主要株価指数は下落した。ダウ工業株30種平均株価は前日比97ドル03セント(0.75%)安の1万2835ドル06セントと6営業日続落した。ギリシャの政局不透明感に加えてスペイン国債利回りが6%台に上昇したためリスク回避の売りが優勢だった。前日比183ドル61セント安の1万2748ドル48セントまで下落する場面もあったが、終盤にかけて下落幅を縮小して下げ渋る展開だった。S&P500株価指数は前日比0.67%安と続落、ナスダック総合株価指数は前日比0.39%安と続落した。
この流れを受けて日経平均株価は前日比31円80銭安と売り優勢でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き310万株の売り越し観測だった。前日の欧米株式市場の下落を弱材料視した。日本の3月国際収支はほぼ予想の範囲内として反応は限定的だった。
寄り付き後の日経平均株価は9000円台を割り込んで推移したが、徐々に下落幅を縮小し、終盤には前日比プラス圏に転じた。前日取引終了後に決算を発表したトヨタ自動車(7203)が堅調だったことが安心感につながった。
午後になると日経平均株価は再び前日比マイナス圏に転じてスタートした。中国4月貿易収支で輸出、輸入ともに市場予想を下回ったことが弱材料視された。その後も概ね小安い水準でモミ合う展開だった。TOPIXは午後も前日比プラス圏を維持していたが、取引終了にかけてマイナス圏に転じた。
東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄814(全体の49%)、値下がり銘柄696(全体の42%)だった。全体として軟調な展開だったが、セクター別にはパルプ・紙、非鉄金属、金属製品、精密、その他製品、電気・ガスなどが上昇した。一方で食品、ゴム製品、海運、空運、情報・通信などが下落した。
東証1部市場の売買代金上位の個別銘柄で見ると、3位の東京電力(9501)、6位のディー・エヌ・エー(2432)の大幅上昇が目立った。また1位のトヨタ自動車(7203)、2位のグリー(3632)、5位の日立製作所(6501)、17位の日産自動車(7201)が上昇した。
一方で、4位の三菱UFJFG(8306)、7位の三井物産(8031)、8位のコマツ(6301)、9位のホンダ(7267)、10位のソフトバンク(9984)、11位のファナック(6954)、12位の日本たばこ産業(JT)(2914)、13位の野村ホールディングス(8604)、14位の三井住友FG(8316)、15位のNTTドコモ(9437)、16位のソニー(6758)、18位のセブン&アイ・ホールディングス(3382)、19位のファーストリテイリング(9983)が下落した。25位の住友化学(4005)の下落も目立った。
トヨタ自動車(7203)の13年3月期の営業利益見通しが安心感につながり、ソーシャルゲーム関連の「コンプガチャ」廃止表明も不透明感の後退につながった。
しかし基本的には、ギリシャの政局不透明感とユーロ圏債務危機問題の再燃が警戒されているだけに、市場全体の地合い改善には力不足だった。
テクニカル面では、9日時点の東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)が約8カ月半ぶりの低水準となっているが、積極的な押し目買いの動きが感じられない。
昨年後半の再現に対する警戒感が強いだけに、当面は欧米株式市場と外国為替市場の動向次第となりそうだ。
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2012年05月10日