イトーキ<7972>(東1)は、400円台下位で2カ月間にわたる下値確認運動を続け、25日移動平均線が上昇転換するとともにこの25日線に乗って溜め込んでいたエネルギーの放出場面が続いて500円台を回復した。今12月期の2ケタ続伸業績や連続増配などを手掛かりに割安修正に進んだもので、今後も、昨年来高値544円更新から2008年6月以来の600円台回復も十分に射程圏に入ってきそうだ。
同社の業績は、好調に推移している。前期業績は、昨年8月の上方修正値を上ぶれ経常利益が37億3500万円(前々期比2.7倍)、純利益が27億200万円(前々期は16億2100万円の赤字)と大きく続伸した。首都圏の大型新築ビルの竣工や、東日本大震災に伴う安全・安心なオフィスビルへの移転需要が高まり、2次、3次の移転需要が発生し、昨年11月にオープンさせたイトーキ東京イノベーションセンター「SYNQA」を新規事業創造の拠点としてパートナーとの共創ビジネスを構築、重点市場の医療・教育・官公庁向けに新製品の開発を進めたことなどが要因となっており、純利益は、前期計上の大震災の被災費用、希望退職者募集に伴う割増加算退職金などの特別損失が一巡して黒字転換した。
今期業績も、「SYNQA」を最大限活用して顧客企業の需要獲得と創造を続け、売り上げ1100億円(前期比4%増)、経常利益42億円(同12%増)、純利益30億円(同11%増)と続伸を見込んで、純利益は、2006年12月期の過去最高(31億9100万円)に接近、配当は、前期の10円(前々期実績5円)への増配に次いで、12.5円に連続増配を予定している。きょう25日の新聞各紙に次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁が起用されるとの報道人事が掲載され、金融緩和策に拍車がかかり、不動産市況の好影響が予想されることも、業績へのフォローの材料となろう。
株価は、旧イトーキクレビオを合併して最高純利益を達成することを手掛かりにつけた2006年9月高値1571円から2011年3月に131円まで調整、400円幅の底上げをしたところである。PERは8倍台、PBRは0.7倍となお割安であり、一段の戻りにトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)
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2013年02月25日