
もともと事前の予想で、上院は大接戦でありベルサニ党首率いる中道左派とモンティ首相率いる中道勢力の連立が過半数を獲得できるかは不透明とされていたが、中道左派連立が上下院で過半数を占めるだろうという楽観的な見方が広がっていたようだ。ところが結果は最悪のシナリオとなって市場には一気にネガティブな反応が広がった。25日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比216ドル40セント(1.55%)安と大幅に下落して今年最大の下げ幅を記録した。外国為替市場ではリスク回避の円買いの動きが強まり一時1ドル=90円85銭近辺、1ユーロ=118円74銭近辺まで円が急騰する場面があった。そしてCMEの日経平均先物(円建て)は前日比315円安の1万1185円(大証終値比は465円安)と急落した。
この流れを引き継いで26日の日本の株式市場も寄り付きから売りが優勢となり結局、日経平均株価は前日比263円71銭(2.26%)安、TOPIXは前日比13.93ポイント(1.42%)安と大幅に下落した。ただしCME日経平均先物ほどの急落とはならず、為替も一時1ドル=92円台後半、1ユーロ=121円台前半に戻す場面があるなど落ち着きを取り戻す場面も見られた。
イタリア総選挙に関しては株式市場、外国為替市場ともに多くの市場関係者が事前に波乱要因として指摘していたはずであり、26日の日本市場でやや落ち着きを見せたことも考慮すると、25日の米国市場の反応はやや過剰だったとも思えるが、それだけ市場全体に楽観ムードが広がっていたということだろう。直前には、某大手証券が日経平均の目標を1万2000円から2500円引上げて1万4500円としたところだった。1998年のバブル天井のころも大手証券中心に目標株価引上げが相次いだことと似た雰囲気にもなっていた。そこを空売り筋に突かれた。
市場全体に楽観ムードが蔓延して浮かれている時ほど、忘れかけていたネガティブ材料が登場してリスクを再認識させてくれる。
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