■思ったほど伸びない電気自動車に代わって主役も、ガス関連も注目
2月27日から3月1日まで東京ビッグサイトで「第9回国際水素・燃料電池展」が開催されている。今回はトヨタ自動車の「FCHV−adv」、日産自動車の「X−TRAIL FCV」、ホンダの「FCXクラリティ」などの燃料電池自動車(FCV)が出展され、試乗会もあって話題になっているようだ。次世代エコカーの本命として、久しぶりにFCVに対する注目度が高まりそうだ。
燃料電池というのは、水素と酸素を化学反応させて電気エネルギーを発生させる装置である。実際には燃料にメタノール、エタノール、水素ガスなどを使用して、陰極で水素イオンと電子に分離し、電解質を介して水素イオンを陽極の酸素イオンと結合させて発電する。発電の際には水と熱しか排出しない。メタノールなどから二酸化炭素(CO2)が発生するが、発生量は化石燃料を燃やす際に比べると圧倒的に少ない。性能、コスト、安全性などで克服すべき課題も多いが、エネルギー効率が高いクリーンエネルギーのため、自動車用や家庭用を中心に次世代エネルギーの本命と言われてきた。
商品化・量産化という点で見ると、家庭用燃料電池は石油・ガス関連企業を中心に、ガスを燃料とする「エネファーム」などの商品化・量産化が進んでいる。しかしFCVについては自動車大手が90年代から本格的に開発を進めているものの、水素ガスを充填する車載タンクの重量や安全性、あるいは水素吸蔵合金や触媒のコストなど課題が多く、家庭用に比べると商品化・量産化が遅れている。07年頃に話題になった時期もあったが、その頃の車両価格は1台当たり1億円以上だった。そして電気自動車の本格的な市販が始まったこともあり、その後は話題性に欠いていた。
しかし、日産自動車や三菱自動車の電気自動車の販売が伸び悩んでいることなども背景として、FCVに対する注目度があらためて高まってきたようだ。自動車業界では、トヨタ自動車と独BMWがFCV開発で提携して15年の市販を目指し、日産自動車、仏ルノー、独ダイムラー、米フォードの4社もFCV開発で提携して17年の市販を目指すと発表した。今後はホンダ、独VW、米GMなどの動きも注目され、開発ペースが加速しそうだ。
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2013年02月28日