バイオベンチャーのテラ<2191>(JQS)に注目したい。株価は乱高下する場面があるが、中期的な成長期待で上値追いの展開となりそうだ。
東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーで、新しいがん免疫療法の「樹状細胞ワクチン療法」を中心としたがん治療技術・ノウハウを医療機関に提供し、治療数に応じた歩合収入が収益柱となっている。
前期(12年12月期)連結業績は、売上高が前期比16.3%増、営業利益が同2.1倍、経常利益が同3.2倍、純利益が同5.0倍で計画を上回った。細胞治療支援事業で契約医療機関の症例数が順調に推移し、細胞治療技術開発事業でのコスト削減効果も寄与した。契約医療機関は期末時点で29カ所(基盤提携医療機関11カ所、提携医療機関6カ所、連携医療機関12カ所)となった。樹状細胞ワクチン療法の症例数は約1400症例で、会社設立以降の累計では約6300症例となった。なお配当については0.8円とした。
今期(13年12月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比9.0%増の16億84百万円だが、利益は営業利益が同56.7%減の95百万円、経常利益が同59.2%減の89百万円、純利益が同79.2%減の20百万円としている。既存契約医療機関における症例数の増加や新規契約医療機関の開拓で増収見込みだが、成長に向けた先行投資負担で減益見込みとしている。
株価の動きを見ると、乱高下しながらも高値を更新する展開が続いている。1月28日には昨年来高値1505円まで上昇し、2月15日に970円まで調整した後、2月28日には1500円近辺まで戻して上値を窺う態勢となっている。2月28日の終値1490円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円58銭で算出)は943倍近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS106円56銭で算出)は14倍近辺である。中期成長期待で買われるバイオベンチャーのため指標面は参考程度だろう。
日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復し、週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から反発した。過熱感が解消されて上昇トレンド継続を確認した形だろう。中期的な成長期待に加えて、値動きも材料視されて上値追いの展開が期待されるだろう。09年7月の高値2195円も視野に入りそうだ。(本紙・シニアアナリスト水田雅展)
>>テラのMedia−IR企業情報
◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!
2013年03月01日