
株式市場は先物主導で不安定な展開が続いている。投資マインドの落ち着きが焦点だが、当面は慎重姿勢が続くだろう。前週末5月31日の米国株式市場でダウ工業株30種平均株価が前日比208ドル96セント下落し、ドル・円相場が1ドル=100円台前半まで円が上昇したことを受けて、週初3日は軟調なスタートとなりそうだ。
週末7日に米5月雇用統計を控え、4日の豪中銀理事会、5日〜6日の英中銀金融政策委員会、6日のECB理事会、そして翌週以降も10日〜11日の日銀金融政策決定会合、19日〜20日の米FOMCと主要国・地域の金融会合が続く。ECBでは追加利下げ、日銀会合では不安定な債券市場への対応、米FOMCでは量的緩和の出口戦略が焦点となり、思惑も絡んで為替や長期金の動向に神経質な状況が続くだろう。7日〜8日の米中首脳会談といった政治イベントも注目され、14日のメジャーSQに向けて思惑が交錯しそうだ。
また5日には安倍晋三首相が成長戦略第3弾を発表する予定だ。株価反転のきっかけとして期待したいが、アベノミクス第3の矢である成長戦略に関しては規制改革が不十分という見方が優勢であり、今回の株価急落の一因とも指摘されている。ただし第1の矢と第2の矢の効果で、企業や消費者のマインド改善は顕著である。企業業績は大幅改善の見通しであり、今夏ボーナスから所得の増加傾向も確認され、消費者物価も上昇の兆しを見せ始めている。
当面は先物主導の指数相場で神経質な展開だが、高水準の裁定買い残や信用買い残の整理など需給面の改善が進めば、脱デフレに向けた動きを評価して強基調に回帰する可能性が高いだろう。ファンダメンタルズ面に大きな変化がないだけに、足元の急落で指標面に割安感が台頭した銘柄に注目しておきたい。
その他の注目スケジュールとしては、3日の中国5月非製造業PMI(国家統計局)、米5月ISM製造業景気指数、米5月自動車販売台数、4日の日本5月マネタリーベース、米4月貿易収支、5日の豪第1四半期GDP、中国5月サービス部門PMI(HSBC)、ユーロ圏第1四半期GDP改定値、米4月製造業新規受注、米5月ISM非製造業景気指数、米5月ADP雇用報告、米地区連銀経済報告、7日の米4月消費者信用残高などがあるだろう。
その後は8日の中国5月貿易統計、9日の中国5月主要経済統計(PPI、CPI、鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資)、17日〜18日のG8首脳会議などが予定されている。(本紙シニアアナリスト・水田雅展)
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