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2013年06月07日

【ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展の視点】アベノミクス成長戦略とマーケット

■失望感だが、過剰反応の可能性

 去る、6月6日の株式市場は大幅続落した。安倍晋三首相が発表した成長戦略第3弾に対する失望感が広がったとされている。

 安倍晋三首相は、第1弾の「女性の活躍」と第2弾の「世界で勝つ」に続くキーワードとして「民間活力の爆発」を掲げ、電力小売り完全自由化と発送電分離、空港・道路整備でのPFI(民間資金を活用した社会資本整備)導入拡大、一般用医薬品(大衆薬)のネット販売解禁、国家戦略特区での容積率緩和などの成長戦略を示した。概ね事前の報道通りの内容だった。

 安倍晋三首相の講演内容が伝わると日経平均株価は先物主導で急落した。前場に大幅高していたオーイズミ<6428>は「カジノ特区」が盛り込まれなかったとして大幅安に転じ、東京電力<9501>は安倍晋三首相が「原発」に触れず、逆に「電力小売り自由化と発送電分離」が盛り込まれたとしてストップ安まで売られた。日経平均株価を動かすファーストリテイリング<9983>は、成長戦略に直接の関係はないと思われるが、前日比10.50%安まで売られる場面があった。

 ただし、産業界や株式市場が強く期待した「法人減税」「解雇規制緩和」「農業参入全面自由化」という、既得権益に切り込む大胆な規制改革は参院選後に先送りされるということは、4月の「成長戦略第1弾」発表以前から度々報道されている。したがって成長戦略第3弾が日経平均株価を前日比518円89銭(3.83%)下落させるほどの「サプライズ失望感」だったと説明するには違和感がある。期待先行で買われ過ぎた反動だとしても、すでに5月23日の高値から約2割調整した段階でもあり、過剰反応という印象が強い。

 一方で産業界には今回の成長戦略を評価する声もあり、インフラ輸出やPFI導入拡大などでメリットを受ける企業も多いだろう。株式市場は14日のメジャーSQに向けて神経質な展開が続きそうだが、成長戦略ごとの個別物色が再開する可能性もあるだろう。

 さらに足元のファンダメンタルズ面に変化はなく、トヨタ自動車<7203>など自動車セクターの今期業績は1ドル=100円近辺でも会社予想に対して上振れの可能性が高く、株価調整局面でも東証1部市場の売買代金が連日で3兆円を超える活況が続いていることを考慮すれば、野村ホールディングス<8604>など証券セクターの好業績も期待されるだろう。5月23日に始まった急落で売られ過ぎ感が台頭している銘柄も少なくないだけに、こうした銘柄の反発にも注目しておきたい。(ジャナリスト&アナリスト・水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:33 | アナリスト銘柄分析