Jトラスト<8508>(大2)の株価が調整一巡感を強めている。ライツ・オファリングによる希薄化を嫌気した売りが一巡した可能性があるだろう。
営業貸付、割賦立替、債権買い取り、債務保証など金融サービス事業を主力としている。M&Aや債権承継の積極活用で業容を拡大し、国内金融分野に日本保証(12年3月ロプロが武富士の消費者金融事業を承継、12年9月ロプロと日本保証が合併)、KCカード(11年8月旧楽天KCを子会社化)、クレディア(12年7月ネオラインホールディングス株式取得に伴い子会社化)、そして不動産分野・アミューズメント分野のアドアーズ<4712>(12年6月子会社化)などを傘下に置いている。
海外金融分野では、韓国・親愛貯蓄銀行(12年10月貯蓄銀行認可・営業開始)が未来貯蓄銀行の一部資産・負債を承継し、1月に韓国・ソロモン貯蓄銀行から、5月に韓国・エイチケー貯蓄銀行から消費者信用貸付債権の一部を譲り受けた。
5月14日発表の前期(13年3月期)連結業績は前々期比2.3倍増収、同2.2倍営業増益、同2.5倍経常増益、同61.4%最終減益だった。純利益は負ののれん発生益一巡のため減益だが、M&Aや債権承継の効果で大幅増収、大幅営業増益、大幅経常増益だった。
今期(14年3月期)の見通しは、売上高が前期比30.4%増の726億20百万円、営業利益が同34.1%増の161億03百万円、経常利益が同26.4%増の173億19百万円、純利益が同12.9%増の150億30百万円としている。韓国・親愛貯蓄銀行が1月にソロモン貯蓄銀行から貸付債権を譲り受けたことも寄与する。業容拡大や金融緩和のメリットなどで好業績が期待されるだろう。配当予想は前期比3円増配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)とした。
なお5月14日に、全株主を対象としたライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当、行使価額1800円)による最大1119億円の資金調達を発表した。第4回新株予約権の上場(大阪証券取引所)は5月31日で、売買最終日は7月23日となる。
株価の動きを見ると、ライツ・オファリングによる資金調達報道を受けて希薄化懸念を強め、高値圏3000円近辺から急落した。6月6日には1789円、6月7日には1819円まで調整する場面があった。ただし終値ベースでは1900円近辺に戻し、6月11日には反発して2000円台を回復している。調整がほぼ一巡したようだ。
6月11日の終値2020円を指標面(潜在株式前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS239円52銭で算出)は8〜9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.5%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS1013円89銭で算出)は2.0倍近辺である。
日足チャートで見ると5日移動平均線を回復した。ライツ・オファリングによる希薄化を嫌気した売りが一巡した可能性もあるだろう。M&Aや業容拡大に向けた期待感で反発の動きを強めそうだ。(ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展)
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2013年06月13日
【ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展の視点】Jトラスト株価は調整一巡、ライツ・オファリングによる希薄化は織込む
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