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2013年07月25日

【小倉正男の経済羅針盤】アベノミクスと観光産業&マーケット

■観光は奥行きがある成長市場

小倉正男の経済羅針盤 アベノミクスの第3の矢、すなわち経済成長戦略のなかで「観光」が取り上げられている。

 観光ははたして新しい成長市場分野になるのか。そう思われる方もいるのではないかと思われる。
 ところが、観光関連業界筋に聞くと、これが間違いなく成長市場だというのである。

 観光は旧い産業にみられがちだが、円安や規制緩和、それに世界遺産登録などの追い風も加わりマーケットはなかなか奥行きが深いし、しかも広い。
それに実際、観光マーケットを取り巻く背景も大きく変化を見せている。

■今年は訪日観光客1000万人実現へ

 観光業界筋によると、今2013年の訪日外人観光客は1000万人を超える見込みということだ。
「1000万人」という数字は昔から言われているが、以前はまるで"遠い夢"のようなことと思われていた。

 しかし、アベノミクスによる円安効果が大きく、外人観光客1000万人は実現できそうだという流れになっているそうだ。

 昨2012年の訪日観光客は835万8000人――。東北大震災で大きく落ち込んだが、回復を見せた。昨年は円高であったにもかかわらず観光マーケットの潜在力を示した。

 アジア諸国の経済力勃興、ローコストキャリア(LCC)などの普及で、観光による人々の行き来は増加する一方だ。
それが今年の訪日観光客1000万人の背景にある。

 観光客はショッピングを楽しむだけではない。ホテルや飲食、それに鉄道、バス、タクシーを使う。クレジットカードなども使われる。
需要は莫大、平和の恩恵によるマーケットにほかならない。

 観光業界筋によると、ホテル関連のリート(不動産投資信託)などは一般のオフィス関連のリートより安定しているという。旧いマーケットに見えるが、変化が起こっている。

■「観光」は国の勢いを見るのが原点

 「観光」という言葉は、『易経』で使われており、国の勢い(=光)を見るのが原点にある意味である。

 自国の勢い、他国の勢い、を見る――。それが「観光」という言葉の元来にある。本来は政治・軍事の概念だったと見られる。

 観光は、いまや各国の主要産業のひとつであり、日本は韓国などに比べて出遅れた一面がある。
 韓国は、ウォン安に加え日本の原発事故・円高などで、中国からの観光客が集中し、すでに訪韓観光客は1000万人を大きく突破している。

 アベノミクスでは取り上げられたものの観光産業&マーケットは、健康・医療、エネルギー、環境、農業などのジャンルに比べやや地味に映ってきた。ここは観光についての見方を少し変えていきたい。

 アベノミクスに中国、韓国が警戒気味といわれている――。それはアベノミクスが経済政策として機能している一面の証明ともいえそうだ。
参議院のねじれは解消、第3の矢で"国の勢い"をそれこそ取り戻してほしいものである。

(経済ジャーナリスト&評論家・小倉正男=東洋経済新報社・金融証券部長、企業情報部長などを経て現職。『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:22 | 小倉正男の経済コラム