
同社の今期業績は、売り上げ210億円(前期比6%増)、経常利益10億8000万円(同26%増)、純利益7億円(同13%増)と予想されている。前期業績は、決算発表前にエレクトロニクス産業の不振、エコカー補助金終了などで売り上げが下ぶれ、工場稼働率の低下で利益も下方修正されたが、今期は、無線基地局用ケーブルの続伸や自動車搭載用電線の復調、ネットワーク機器の持ち直し、さらに1ドル=95円と想定する円安進行も寄与して増収増益となる。配当は、中間配当10円、期末配当12円の年間配当22円(前期実績22円)を安定継続する。
一方、株価材料面では、ハイビジョン光中継器がまず注目で、オリンピック中継で高性能を証明しており、東京オリンピック関連人気を刺激しよう。また、今年3月に東北大学青葉山キャンパスでデモンストレーションした耐災害ITCネットワークシステムも要注目である。従来の通信システムが、ケーブルによって基地局を結び、災害によって1カ所でも基地局が機能しなくなると、全体が機能不全となるのに対して、同社の新システムは、無線によって基地局を自律協調動作させるワイヤレスネットワークを実現、耐災害性を実証している。同社は、防災計画の整備・構築をしている地方自治体向けに営業攻勢を強める。
株価は、今期第1四半期の売り上げが、前年同期比11%増と続伸したものの、仕入れ・輸送コストの上昇で経常利益が同26%減、純利益が49%減と減益転換したことから今年1月の年初来安値682円にあと15円と迫る2番底をつけ、中間配当権利取りで100円幅の底上げをした。PERは7倍台、PBRは0.3倍と超割安であり、新ネットワークシステム実証デモ評価でつけた年初来高値936円へのキャッチアップを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)
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