来週(10月7日〜11日)の株式・為替相場は、米国の財政問題(暫定予算と連邦政府債務上限引き上げ)しだいであり、早期解決に向けて協議が進展するかどうかが焦点となる。
米国の財政問題に関しては「オバマケア」と呼ばれる医療保険改革法が焦点となり、新年度の暫定予算を巡って民主党が多数の上院と共和党が多数の下院が歩み寄りを見せず、10月1日から一部政府機関が閉鎖に追い込まれた。連邦政府債務上限引き上げ問題も、事実上の資金枯渇期限とされる10月17日が接近しているが、現時点では解決に向けた道筋が見えない。一部政府機関の閉鎖が長期化すれば米景気に悪影響を及ぼす可能性が高まり、仮に米国が一時的デフォルト(債務不履行)となれば世界経済が大混乱に陥りかねない。
■米・雇用統計発表は延期され、FOMC量的緩和縮小開始の判断混迷
米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に対する不透明感も増している。一部政府機関の閉鎖に伴って10月4日に予定されていた米9月雇用統計の発表も延期され、次回10月29日〜30日開催予定の米FOMC(連邦公開市場委員会)での量的緩和縮小開始に関する判断材料が得られなくなった。さらに一部政府機関の閉鎖が長期化すれば米景気の下押し要因となるため、量的緩和縮小開始が遠のく、あるいは量的緩和が長期間継続するとの見方も広がっている。外国為替市場ではドル売り要因となってドル安・円高方向に傾く。
こうした状況に対してオバマ米大統領が急きょ、アジア歴訪とAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の出席を中止して国内問題に集中するとしたため、解決に向けて動き出すとの期待感も浮上している。実際に早期解決に向けて動き出せば警戒感が後退して株式市場は上昇し、為替はドル高・円安方向に傾く。
最終的には期限直前に妥協が成立してデフォルトは回避されるとの見方も根強い。しかしオバマ米大統領と共和党とのチキンレースが繰り広げられる可能性も高く、10月17日の期限が接近するにつれて株式市場、外国為替市場ともにリスクオフムードを強めることになる。
国内要因では安倍晋三首相が10月1日の記者会見で、消費税を予定どおり14年4月から3%引き上げて8%にすることを正式決定するとともに、12月に5兆円規模の経済対策を策定すると表明した。しかし市場が期待した法人税実効税率引き下げに関しては「真剣に検討を進めないといけない」と強調したにとどまり、明確な方向性を打ち出すには至らなかった。このため市場では失望感や材料出尽くし感が優勢になった形だ。
5兆円規模の経済対策や主要企業の業績上振れ期待が相場の下支え要因との見方もあるが、消費増税前の駆け込み需要の反動に対する警戒感は根強く、業績上振れ期待もある程度は織り込まれている可能性があり、当面は米国の財政問題を巡る協議進展しだいの展開だろう。個別材料物色になりそうだ。
その他の注目スケジュール(米国の経済指標に関しては発表延期の可能性がある)としては、7日の日本8月景気動向指数CI速報値、米8月消費者信用残高、APEC首脳会議、8日の日本8月経常収支、日本9月景気ウォッチャー調査、中国9月サービス部門PMI(HSBC)、米8月貿易収支、IMF世界経済見通し、9日の米FOMC議事録(9月17日〜18日開催分)発表、9日〜10日の英中銀金融政策委員会、10日の日本8月機械受注、日本9月消費動向調査、米9月輸出入物価、米9月財政収支、10日〜11日のG20財務相・中央銀行総裁会議、11日の米9月小売売上高、米10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。
その後は11日〜13日のIMF・世銀年次総会、12日の中国9月貿易統計、14日の中国9月PPI・CPI、18日の中国第3四半期GDP、中国9月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)
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2013年10月06日
【アナリスト水田雅展の為替&株式相場展望】米国の財政問題にかかる、早期解決に向けて協議進展するかどうかが焦点
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