バイオベンチャーのテラ<2191>(JQS)の株価は強基調に転換して出直りの動きが本格化している。今期(13年12月期)業績に再増額の可能性があり、中期成長期待も強い。高値圏回帰を目指す動きを強めそうだ。
東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーである。樹状細胞ワクチン療法を中心とした独自のがん治療技術を契約医療機関に提供する細胞治療技術開発事業と、医療機関から受託する細胞加工施設の運営・保守管理サービスやCROなどの細胞治療支援事業を展開している。
細胞治療技術開発事業は治療数に応じた収入が収益柱であり、契約機関数の増加が収益拡大につながる。前期(12年12月期)末時点の契約医療機関は全国29カ所(基盤提携医療機関11カ所、提携医療機関6カ所、連携医療機関12カ所)で、今期は8月6日に北里研究所、8月12日に八九十会高尾病院との提携契約を締結し、契約医療機関は全国で31カ所となった。
成長に向けた施策も着実に実行している。13年4月にはiPS細胞を用いた再生医療実用化を目指す日本網膜研究所(現ヘリオス)に出資し、5月にはがん新薬を中心とした治験支援事業「イメージングCRO」に新規参入するため子会社タイタンを設立した。
7月には、アンジェスMG<4563>と子宮頸がんの前がん病変治療ワクチンの共同研究・開発の基本契約を締結した。さらに10月4日には、北里研究所と共同研究契約を締結し、肝細胞がんに対するがん抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法の第T相臨床試験を開始すると発表した。
今期連結業績見通し(7月31日に増額修正)は売上高が前期比11.2%増の17億17百万円、営業利益が同29.9%減の1億55百万円、経常利益が同54.4%減の1億円、純利益が同78.4%減の21百万円としている。先行投資負担が利益圧迫要因となって減益見込みだが、細胞治療支援事業では保守管理サービスの新規受注が寄与する。修正後の通期見通しに対する第2四半期累計(1月〜6月)の進捗率は高水準であり、通期再増額の可能性があるだろう。
株価の動きを見ると、8月30日の直近安値1825円をボトムに急反発して出直りが本格化している。9月30日には3470円まで上伸して7月25日の3200円を上抜いている。好業績見通しを再評価して強基調に転換した形だろう。その後一旦は2700円台まで反落する場面もあったが、日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなり、10月18日には終値で3200円台まで戻して動意の構えを見せている。高値圏回帰を目指す動きを強め、5月15日以来の4000円台も視野に入るだろう。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)
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2013年10月21日