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2013年12月18日

【小倉正男の経済羅針盤】みんなの党を普通の会社として見れば・・・

■みんなの党は「ユア・コーポレィト」だったのに

小倉正男の経済羅針盤 アメリカでは、自分の勤務する会社を「ユア・コーポレィト」(貴方の会社)と表現する。ユア・コーポレィトとは、“株主や顧客の会社”だというわけである。

 ユア・コーポレィト――「ウチ(内)」「ソト(外)」でいえば、ソトに比重がある。

 会社は、そこ=ウチに勤務する経営者や社員のものではない。会社とは、ユア・コーポレィト、すなわちソトのものだというのである。

 日本では、「弊社」などという言い方もあるが、一般には「わが社」と表現される。言うまでもなく、ウチがあくまで中心というかすべてである。

 「みんなの党」は、本来、“貴方の党”という意味合いが込められていたと思われる。つまり、党内=ウチの党ではなく、党外=ソトの一般の国民市民の党ということである。

 「みんなの党」には、そんな画期性があった。それが、いつの間にか、「自分の党」に変わってしまったということなのだろうか。

 人事やお金の権力を握れば、それを手放したくなくなる。政界再編成に消極姿勢を採るのは、権力を持っている党内の心地よさを維持したいからという推察が語られている。

■認めるべきは“大量退社”、会社が分裂した現実

 江田憲司前幹事長を筆頭に14名の議員が一気に離党し、みんなの党がふたつに分裂したのはよほどのこととは言えないか。

 「江田新党」(=結いの党)については、ソトからの支持や信頼はまだ集まってはいない。厳しく言えば未知数の段階、「すっきりした」(江田氏)のはわかるが、それは個人的次元の話でしかない。ソトは、あくまでどう行動するかで判断することになる。

 渡辺喜美代表は、当初の印象では、「党の方針、私の方針に反する言動をするなら出て行け」という調子だった。
 しかし、大量離党という事態になったら、今度は会派からの離党を認めないとしている。理屈は立てられるにしても、これは傍から見ればやや嫌がらせのように見えないではない。

 “離党する”、という数がこれだけ大量になったこと自体が重たい。ともあれ、それだけで理非や大義が果してどちらにあるかを少しは示しているのではないか。

 それに議員の離党だけではなく、一般の党員の離党も半端ない動きとなる可能性がある。離党を認めるとか認めないという次元ではなく、認めるべきはみんなの党がすでに分裂している現実ということになる。

■普通なら経営責任追求もの!?

 みんなの党は、会社でいえば役員、社員が半数近くほど辞表を出したような状態に見える。それだけではなく、大株主、金融機関や顧客の気持ちが乖離したような状態だろうか。

 つまり、ステークホールダーの信頼性が揺らぎ、マーケット・ニーズから離れている会社になっているのでないか。

 政党も会社も人々の信頼、支持がなければ先行きは切り拓けない。普通なら株主総会で経営責任追及などに追い込まれるところだが、どうだろうか。

(経済ジャーナリスト&評論家・小倉正男=東洋経済新報社・金融証券部長、企業情報部長などを経て現職。『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 04:33 | 小倉正男の経済コラム