フードデリバリー事業のライドオン・エクスプレス<6082>(東マ)は12月3日に新規上場した。株価はIPO後の利益確定売りが一巡して、新規上場初日に付けた高値に接近している。中期成長力を評価して高値を試す動きだろう。
01年7月にレストラン・エクスプレスを設立し、01年10月に「銀のさら」FC加盟店の募集を開始した。そして13年4月ライドオン・エクスプレスに社名変更し、13年12月東証マザーズ市場に新規上場した。
フードデリバリー事業(宅配寿司「銀のさら」や宅配御膳「釜虎」など調理済み食材の宅配事業)を直営店とFC店で全国展開している。主に団塊〜シニア層マーケット向けにビッグデータを活用して事業展開し、宅配寿司・釜飯カテゴリーにおいて圧倒的な市場シェアとブランド力を誇っている。直営店とFC店を戦略的に配分していることも特徴だ。
宅配事業は自社ブランドの宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜虎」、シニア向け宅配弁当「銀のお弁当」、宅配とんかつ「あげ膳」、宅配カレー「カレーキャリー」と、提携レストランの宅配代行サービスである「ファインダイン」事業を展開し、その他事業では新しいアートを創作するサービス「リトルアーティスト」を展開している。なお08年10月に譲り受けた宅配中華「ダイニングスクエア(09年12月に上海スクエアに変更)」事業は、13年3月に事業譲渡した。
13年9月末時点の宅配拠点数は368(直営81、FC287)で、1拠点で複数ブランドを展開している。ブランド別店舗数は「銀のさら」362店舗、「釜虎」182店舗、「銀のお弁当」9店舗、「あげ膳」1店舗、「カレーキャリー」1店舗、「ファインダイン」事業7店舗、合計562店舗(直営153店舗、FC409店舗)である。また「ファインダイン」事業の提携レストラン数は248である。
フードデリバリー市場は高齢社会による老齢人口の増加、女性の社会進出による家庭内調理時間の減少、小規模世帯の増加、インターネットの普及などを背景として拡大基調であり、店舗の立地・面積・設備などの制約を受けにくい優位性も発揮して中期的に収益拡大が期待される。中期戦略としては、ブランド力の高い「銀のさら」を核とした宅配拠点数増加、1拠点で複数ブランドの店舗を運営する複合化戦略の推進、「ファインダイン」事業の展開加速、デリバリーネットワーク戦略(BtoC型デリバリープラットフォームの構築)を掲げている。
今期(14年3月期)の業績(非連結)見通しについては、売上高が前期比2.8%増の165億83百万円、営業利益が同68.4%増の9億12百万円、経常利益が同69.1%増の9億01百万円、純利益が同2.2倍の5億10百万円としている。宅配事業の新規出店、食材調達先見直しによる粗利益率改善、「ファインダイン」事業の配達効率化による収益改善、不採算だった中華宅配事業の譲渡などで、先行投資費用や新規上場費用などを吸収する。
なお12月11日に株主優待制度の新設を発表している。毎年3月31日現在の株主名簿に記載または記録された株式1単元(100株)以上保有株主を対象として、全国の「銀のさら」「釜虎」「ファインダイン」店舗で使用できる優待券5000円分を贈呈する。宅配可能な店舗がない等の理由で優待券を利用しない場合は「魚沼産コシヒカリ(新米)5kg」を選択できる。14年3月末から開始する。
株価の動きを見ると、公開価格2000円に対して上場初日12月3日に初値3105円(公開価格に対する初値倍率1.55倍)を付け、高値3260円まで上昇する場面があった。その後は利益確定売りが優勢になって12月5日に2570円まで調整する場面があったが、切り返して足元では3000円近辺まで戻している。中期成長力を評価して高値を試す動きのようだ。
12月30日の終値2982円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS122円09銭で算出)は24〜25倍近辺である。新規上場から1カ月が経過して株価は落ち着きどころを探る時期だが、上場3日目の12月5日に付けた安値をボトムとして切り返している。IPO人気離散による調整は浅く、上場初日の12月3日に付けた高値3260円を突破すれば上値追いの展開となりそうだ。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)
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2014年01月06日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ライドオン・エクスプレスは利益確定売りが一巡して上場初日の高値に接近、中期成長力を評価する動き
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