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2014年02月24日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】寿スピリッツは中期成長力を評価、配当と優待も注目点

 菓子製造販売の寿スピリッツ<2222>(東2)の株価は、1月の上場来高値から全般地合い悪化の影響を受けて一旦反落したが、足元で切り返しの動きを強めている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、3月期末の一括配当や株主優待制度も注目点だ。

 「ラングドシャ」ブランドなどを展開する山陰地区の寿製菓、「ルタオ」ブランドなどを展開する北海道のケイシイシイ、首都圏で洋菓子を多ブランド展開するシュクレイ、「赤い風船」ブランドなどを展開する九州の九十九島グループなどを傘下に擁し、地域限定ブランド菓子を製造・販売している。駅・空港・高速道路など交通機関チャネルの出店・販売比率が高いことも特徴であり、訪日外国人など観光客の増加も追い風となる。

 企業ビジョンとして「全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドの総合プロデューサー」を掲げ、新ブランド・新商品・新業態・新店舗創り、新ビジネス開発、海外展開を推進している。新規分野ではジャパルシーが健康食品「栃(とち)」と「藍(あい)」を販売し、ジュテックスは通販基幹業務システムサービスを提供する。海外展開では13年7月、台湾台北市に海外初出店となるカフェ店舗「KONAYUKI」を立ち上げた。13年11月には「栃の実」に含まれるポリフェノールを「ヘリコバクター・ピロリ接着抑制剤」として特許を取得している。事業領域拡大で中期成長力は高いだろう。

 2月3日発表の今期(14年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)連結業績は前年同期比10.5%増収、同18.0%営業増益、同18.0%経常増益、同11.8%最終増益だった。売上総利益率は同1.3ポイント上昇した。主要子会社の状況を見ると、九十九島グループは大手テーマパーク向けの苦戦で同1.1%減収だが、ケイシイシイはグループ向けの増加やネット通販の強化で同8.3%増収、寿製菓は山陰地区の好調で同10.8%増収、販売子会社は東海地区の好調で同7.8%増収、シュクレイは既存店舗の好調で同45.8%増収と好調に推移した。営業利益では寿製菓の製造稼働率上昇効果による同36.9%増益などが牽引した。

 通期の見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比5.3%増の217億50百万円、営業利益が同12.2%増の21億円、経常利益が同11.1%増の21億円、純利益が同12.2%増の11億70百万円としている。新業態の新規出店、首都圏での洋菓子販売強化、遷宮・奉祝イベントで観光客が増加している東海地区・山陰地区の好調、クリスマス・年末商戦の好調、新規事業の本格化、製造採算の改善などで最高益更新の見込みだ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が78.7%、営業利益が88.6%、経常利益が89.3%、純利益が87.4%と高水準である。第3四半期(10月〜12月)の売上構成比が高く、今期は第4四半期(1月〜3月)の関東圏での記録的な大雪の影響がやや懸念要因となるが、通期上振れの可能性があるだろう。

 なお2月17日に、香川県を中心に菓子販売を展開している連結子会社の国武商店を清算(14年4月結了予定)し、瀬戸内地区を中心に事業展開している販売子会社のせとうち寿に事業を移管すると発表した。これによる業績への影響は軽微としている。

 株価の動きを見ると、1月21日には上場来高値となる1998円まで上伸した。その後は全般地合い悪化の影響を受けて反落し、2月4日に1655円まで下押す場面があったが、素早く1900円近辺まで切り返している。リスク回避の売りが一巡して好業績を評価する動きだろう。

 2月21日の終値1882円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS112円79銭で算出)は16〜17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.6%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS683円47銭で算出)は2.8倍近辺である。週足チャートで見ると2月上旬の急落は13週移動平均線近辺で下ヒゲを付けて反発した。サポートラインを確認した形だろう。強基調を維持して上値を試す展開となりそうだ。(ジャーナリスト&アナリスト)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:53 | アナリスト水田雅展の銘柄分析