医療機器商社の山下医科器械<3022>(東1)は、従業員の不正行為判明、業績発表延期、そして全般地合い悪化と続いた悪材料をほぼ織り込んだようだ。今期(14年5月期)業績増額の可能性を評価して反発のタイミングだろう。
九州を地盤とする医療機器商社である。医療機器の販売・メンテナンス、医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントの製造販売を展開している。九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略として推進するとともに、医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため13年7月に福岡SPDセンターを新設し、鳥栖SPDセンターとの2拠点体制とした。
13年12月25日に判明した従業員による不正行為に関して、2月12日に調査委委員会から調査報告書が提出され、2月14日に過去の有価証券報告書および今期第1四半期(6月〜8月)決算短信の訂正を発表した。不正行為による不正な売上高の総額は約2億64百万円だった。今後は再発防止と信頼回復に向けて実効性のある再発防止策を即時に徹底して実施する所存としている。
2月14日発表の今期(14年5月期)第2四半期累計(6月〜11月)連結業績は前年同期比6.8%増収、同54.0%営業増益、同42.6%経常増益、同51.3%最終増益だった。急性期病院の設備投資や機器更新案件の受注が想定以上に増加し、内視鏡システムや超音波診断装置など検査機器の販売が伸びたため、売上高・利益とも計画を大幅に上回った。
医療機器販売事業の売上内訳は一般機器分野が同2.8%増の39億01百万円、一般消耗品分野が同3.2%増の115億41百万円、低侵襲治療分野が同15.1%増の58億48百万円、メディカルサービス分野が同5.6%増の15億22百万円、医療情報分野が同31.0%増の6億80百万円だった。
通期見通しについては前回予想(7月11日公表、前期決算訂正のため伸び率は修正)を据え置いて、売上高が前期比0.4%増の473億29百万円、営業利益が同20.2%減の4億22百万円、経常利益が同16.3%減の4億97百万円、純利益が同13.3%減の2億79百万円としている。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.9%、営業利益が108.5%、経常利益が98.0%、純利益が101.1%で、利益はほぼ達成している。福岡SPDセンターの新設費用に加えて、設備工事・機器関連の入札案件の見通しが難しいため保守的な見通しを据え置いているが、通期増額は濃厚だろう。
株価の動きを見ると、従業員の不正行為判明や業績発表延期を嫌気して上値を切り下げ、1月下旬〜2月上旬には全般地合い悪化も影響して1700円〜1800円近辺でのモミ合いから下放れの形となった。2月4日には1530円まで下押す場面があった。ただし足元では1700円近辺に戻している。第2四半期累計業績発表翌日の2月17日には前日比120円(7.40%)高と急反発する場面があった。リスク回避の売りが一巡して好業績を評価する動きを強めているようだ。
2月21日の終値1655円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円61銭で算出)は15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間33円で算出)は2.0%近辺、実績PBR(訂正後の前期実績連結BPS2043円57銭で算出)は0.8倍近辺である。週足チャートで見ると、13週移動平均線と26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、2月上旬の急落で下ヒゲを付けて1600円近辺の下値支持線を確認したようだ。今期業績増額の可能性を評価して反発のタイミングだろう。
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2014年02月25日
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