ユーグレナ<2931>(東マ)の株価は軟調展開だったが、3月4日にはジェット燃料を材料視して動意付いた。1000円近辺で下値を確認した形であり、中期成長力も評価して反発局面だろう。
59種類の豊富な栄養素を有する微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養をコア技術として、ユーグレナを利用したバイオジェット燃料やバイオフィルムなど関連分野への研究開発も進めている。13年3月にユーグレナ粉末受託生産と微細藻類クロレラ生産の八重山殖産、13年11月にバイオベンチャーの植物ハイテック研究所を子会社化した。
ユーグレナを活用して「Food=食料」「Fiber=繊維」「Feed=飼料」「Fertilizer=肥料」「Fuel=燃料」の順に、重量単価の高い分野から参入する「バイオマスの5F」を基本戦略としている。現在は機能性食品や化粧品を製造販売するヘルスケア事業(OEM供給、自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」直販など)で安定的キャッシュフローを創出しながら、バイオジェット燃料などエネルギー・環境事業への投資を進めている。エネルギー・環境事業のバイオジェット燃料は18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指している。
13年11月発表の中期経営計画では、18年までにユーグレナの食品国内市場300億円規模、国内ヘルスケア事業の売上高150億円、営業利益30億円以上、ユーグレナの食品海外市場300億円規模を目指している。ヘルスケア事業では、13年12月にユーグレナを活用したペット用食品(ドッグフード)分野に参入し、14年3月からスキンケアシリーズ「B.C.A.D.(ビー・シー・エー・ディー)」で自社ブランド化粧品事業を開始する。海外は、中国で「新食品原料」登録を取得したため伊藤忠商事<8001>との連携で拡販を強化する。またユーグレナとクロレラがイスラム教のハラール認証を取得したため、60兆円と推測されるハラール食品市場への輸出も可能になった。
なお2月14日には、佐賀市と「藻類培養に関する共同研究」についての契約締結を発表した。佐賀市の施設から生じるバイオマス資源等を活用して、ミドリムシなど藻類培養技術の検討およびコスト評価を行う予定としている。
2月13日発表の今期(14年9月期)第1四半期(10月〜12月)連結業績は売上高が7億円、営業利益が41百万円、経常利益が15百万円、純利益が6百万円だった。営業外費用では一般募集による新株式発行に伴う株式交付費29百万円を計上した。単純比較はできないが前年同期の非連結業績との比較で見ると80.2%増収、95.0%営業増益、15.7%経常減益だった。
セグメント別に見ると、ヘルスケア事業は売上高が6億99百万円、営業利益(全社費用等調整前)が1億55百万円だった。高利益率の自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」での自社製品販売を強化して安定収益源となった。エネルギー・環境事業は売上高が受託研究の1百万円、営業利益が30百万円の赤字だった。
通期見通しは前回予想(11月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比48.8%増の31億13百万円、営業利益が同横ばいの1億76百万円、経常利益が同9.0%減の2億40百万円、純利益は負ののれん発生益が一巡して同70.1%減の1億44百万円としている。今期は売上総利益増加分を中期成長に向けた先行投資として、広告宣伝費や研究開発費に充当する方針のため営業利益は横ばいだが、収益性の高い自社ECサイト直販での購入者数が増加基調であり、全体収益を牽引する。
株価の動きを見ると徐々に上値を切り下げる展開となり、1月下旬〜2月上旬の全般地合い悪化の影響も受けて、2月4日に昨年4月以来の安値水準となる935円まで急落する場面があった。直後に1200円台まで一旦反発した後は再び水準を切り下げる形だったが、3月4日に動意付いて前日比293円(28.9%)高の1306円まで急反発する場面があった。ジェット燃料を材料視したようだ。3月4日の終値は1152円だった。週足チャートで見ると3月4日の急反発によって1000円近辺で下値支持線を形成した形だ。中期成長力に変化はなく、下値を確認して反発展開だろう。
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2014年03月05日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ユーグレナはジェット燃料材料視し動意、下値確認で反発局面
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