総合物流の鴻池運輸<9025>(東1)の株価は、全般地合い悪化の影響も受けて戻り高値圏から反落したが、足元では下値を確認した形だ。指標面の割安感に見直し余地があり出直り展開だろう。
1880年創業、1945年設立の総合物流企業で、13年3月東証1部市場に新規上場した。環境関連、医療関連、定温物流など強みを持つ10分野を中心に構内作業・流通加工・輸送などを組み合わせた総合ソリューションを提供している。前期(13年3月期)のセグメント別売上構成比は複合ソリューション事業64.8%、国内物流事業22.3%、国際物流事業12.9%である。分野別売上構成比は鉄鋼関連24.0%、食品関連26.8%、生活関連(生活業務、空港業務、メディカル業務、流通・アパレル業務)29.0%、定温関連7.9%、海外関連12.3%である。
中期経営計画では目標数値として18年3月期売上高3000億円、営業利益150億円、ROE8.7%、そして創業140周年の21年3月期売上高3500億円、営業利益200億円、ROE9.6%を掲げている。現在の基軸分野である鉄鋼関連と食品関連に加えて、次世代中核事業として医療関連、ファッション&アパレル関連、空港関連、定温物流を育成する方針だ。
海外は米州、中南米、そしてアジアでは中国、インド、バングラディシュ、メコン・ベンガル地域(ベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジア)での拠点整備を加速している。14年1月にはミャンマーに現地法人を設立した。また14年2月にはタイに現地企業と合弁会社を設立すると発表した。現地関連当局による設立認可を受けて14年4月設立予定としている。
2月10日発表の今期(14年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)連結業績は前年同期比0.5%増収、同2.3%営業減益、同2.1%経常増益、同9.1%最終増益だった。純利益は法人税減少も寄与した。セグメント別に見ると、主力の複合ソリューション事業は売上高が同1.0%減の1116億22百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同2.3%減の84億89百万円だった。鉄鋼関連や空港関連がやや低調だった。ただし食品関連、生活関連、医療関連は好調に推移しているようだ。
国内物流事業は売上高が同0.5%増の388億53百万円、営業利益が同24.0%減の9億48百万円だった。燃料価格上昇、新センター立ち上げに係る費用増加、電気料金値上げに伴う冷凍・冷蔵倉庫運営コスト上昇などで減益だったが、定温物流のコンビニ・小売向けなどが好調のようだ。国際物流事業は売上高が同9.0%増の232億53百万円、営業利益が同54.5%増の10億66百万円だった。注力地域であるバングラディシュからのアパレル製品輸入業務の好調、米国子会社での鋼管や自動車関連の大型案件獲得、円安進行に伴う円換算差額などが寄与した。
通期の見通しは前回予想(11月7日公表)を据え置いて、売上高が前期比0.1%増の2279億円、営業利益が同0.1%増の77億円、経常利益が同0.8%増の76億円、純利益が同3.1%増の41億円としている。車両・ドライバー不足による外注費の増加、燃料価格の高止まりなどで不透明感が強いとしているが、第3四半期累計の進捗率は売上高が76.2%、営業利益が85.4%、経常利益が88.1%、純利益が95.8%と高水準である。第4四半期(1月〜3月)には消費増税前の駆け込み需要で国内物流量の増加が予想されることも考慮すれば、通期上振れの可能性が高いだろう。
株価の動きを見ると、戻り高値圏1550円〜1600円近辺から反落し、全般地合い悪化の影響も受けて2月5日に1375円を付け、その後の反発力も鈍く2月25日には1353円まで下押す場面があった。ただし足元では切り返しの動きとなり、3月5日には1477円まで戻す場面があった。リスク回避の売りが一巡したようだ。
3月6日の終値1449円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS144円11銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.1%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS2435円25銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると安値圏で下ヒゲを付けて下値を確認した形だろう。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復して強基調へ転換の動きを強めている。指標面の割安感にも見直し余地があり出直り展開となりそうだ。
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2014年03月07日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】鴻池運輸は下値確認し出直り、指標面の割安感に見直し余地
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:57
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