製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は軟調展開だったが、下値を確認して反発局面だろう。業績悪化に対応した事業構造改革に期待が高まる。
事業戦略コンセプトとして「neo EMS」を掲げて、製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。13年7月にはTKRが日立メディアエレクトロニクスの電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受けた。
2月14日発表の今期(14年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)連結業績は売上高が前年同期比3.5%増の308億55百万円、営業利益が5億34百万円の赤字(前年同期は4億72百万円の利益)、経常利益は2億28百万円の赤字(同4億17百万円の利益)、純利益は同5.3倍増の8億49百万円だった。中国EMS事業の売上高は概ね堅調だったが、中国の人件費高・人民元高や日系メーカーの生産調整などの影響で損益が大幅に悪化した。純利益はTKRの株式追加取得に伴う負ののれん発生益が寄与した。
通期の見通しは前回予想(11月14日に売上高、営業利益、経常利益を減額、純利益を増額)を据え置いて売上高が前期比6.8%増の415億円、営業利益が5億円の赤字(前期は3億87百万円の利益)、経常利益が2億50百万円の赤字(同5億64百万円の利益)、純利益は同2.3倍の5億50百万円としている。純利益は第3四半期累計で8億49百万円を計上しているが、第4四半期(1月〜3月)に事業構造改革費用が発生する見込みだ。
事業構造改革については、構造的課題のある拠点の統廃合(志摩グループとTKRグループの香港拠点およびEMS事業拠点の統廃合など)、国内事業拡大に向けてのビジネスモデル再構築(日立メディアエレクトロニクスから譲渡された水沢工場の活用や、人材ビジネス領域の強化など)、中国におけるビジネスモデルの見直し(人材サービスの強化など)などを検討しているようだ。来期(15年3月期)は構造改革の効果が寄与して収益改善が期待される。
株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、業績悪化を嫌気して軟調展開が続き、2月上旬には全般地合い悪化の影響も受けて2月4日の283円まで急落する場面があった。ただしその後は切り返し、足元は概ね320円〜340円近辺で推移している。売りが一巡したようだ。今期業績悪化を織り込んで下値を確認した可能性があるだろう。
3月6日の終値320円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円79銭で算出)は6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.9%近辺、実績PBR(前期実績に株式分割を考慮した連結BPS367円45銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえているが、2月の急落場面で下ヒゲを付けて下値を確認した形であり、一旦は反発局面だろう。
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2014年03月07日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本マニュファクチャリングサービスは下値確認し反発局面
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:02
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