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2014年03月07日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ラクーンは地合悪化の影響受けるが、中期成長力評価で出直り

 電子商取引(EC)サイトを運営するラクーン<3031>(東マ)の株価は、全般地合い悪化の影響も受けて調整したが、中期成長力を評価して出直り展開だろう。

 アパレル・雑貨分野の企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の運営を主力として、締め支払い決済「Paid」サービスや「売掛債権保証」など周辺分野にも事業領域を広げ、質の高い会員小売店と出展企業の獲得、利便性の高いサービス提供などによって客単価や稼働率の向上に取り組んでいる。14年1月末時点で会員小売店は3万9339店舗(13年4月末比2799店舗増加)、出展企業は934社(同27社減少)、商材掲載数は44万5806点(同7万6087点増加)となった。

 新規事業として、クラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を14年3月中旬から開始する。企業の業種や規模を問わず、すべてのBtoBにおける受発注をWeb一元管理できるクラウド受発注ツールである。基本機能を無料として来期(15年4月期)から有料オプションを提供する予定だ。利用企業の業種や規模に縛られない「Paid」サービスや「売掛債権保証」に続くサービスとして事業を拡大する。

 2月25日発表の今期(14年4月期)第3四半期累計(5月〜1月)連結業績は前年同期比4.9%増収、同37.8%営業増益、同41.6%経常増益、同36.8%最終増益だった。主力のEC事業が順調に拡大して全体を牽引した。売掛債権保証事業の保証残高が増加して営業損益が大幅に改善したことも寄与した。

 セグメント別に見ると、EC事業は質の高い会員小売店の増加や稼働率の向上などで同3.9%増収、同1.7%営業増益だった。企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の商品売上高は同3.9%増加して順調に拡大している。売掛債権保証事業は、保証残高が同14.0%増加したことで同3.9%増収となり、同4.1倍営業増益と損益が大幅に改善した。

 通期見通しは前回予想を据え置いて、売上高が103億円〜106億円(前期比5.2%増〜8.3%増)、営業利益が2億20百万円〜2億30百万円(同21.5%増〜27.1%増)、経常利益が2億10百万円〜2億20百万円(同19.3%増〜25.0%増)、純利益が1億25百万円〜1億35百万円(同6.0%減〜1.5%増)としている。純利益は税負担正常化で横ばい見込みだが、会員数や取扱高の増加が牽引して減価償却費の増加を吸収し、売掛債権保証事業も保証残高増加に伴って収益が改善する。

 来期(15年4月期)についても、主力のEC事業が順調に拡大し、売掛債権保証事業の損益が一段と改善することに加えて、新規事業のクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」も寄与して収益拡大が期待されるだろう。

 株価の動きを見ると、1月27日に戻り高値905円を付ける場面があったが、全般地合い悪化の影響も受けて2月5日の548円まで調整した。ただし以降は大きく下押す動きは見られず、概ね570円〜700円近辺のレンジで推移している。第3四半期累計の好業績に対する反応は限定的だったが、リスク回避の売りは一巡しているようだ。

 3月6日の終値636円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社レンジ予想の連結EPSの中間値23円86銭で算出)は27倍近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS246円54銭で算出)は2.6倍近辺である。週足チャートで見ると上値を切り下げたが、下値は26週移動平均線がサポートラインの形だ。中期成長力を評価して出直り展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:20 | アナリスト銘柄分析