川崎近海汽船<9179>(東2)の株価は、全般地合い悪化の影響で1月の戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、足元では調整一巡感を強めている。好業績と指標面の割安感を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門と、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、その他事業(北海道地区における不動産賃貸事業など)を展開している。13年5月に発表した中期経営計画では、目標値として16年3月期売上高457億円、営業利益28億円、経常利益26億50百万円、純利益17億円を掲げている。
中期成長に向けた新規分野として、日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備および洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船業務に進出する。13年10月にはオフショア・オペレーションと均等出資で合弁会社オフショア・ジャパンを設立した。また外航関連では新規にインド駐在員を置く方針を示している。
2月24日に特別損失発生と今期(14年3月期)連結純利益見通しの減額修正を発表した。パナマの子会社が経営効率化に向けて高コスト船を譲渡し、船舶売却損失約6億50百万円を特別損失に計上する。修正後の連結業績見通しは売上高が前期比6.2%増の451億円、営業利益が同5.0%増の18億50百万円、経常利益が同9.3%増の18億円を据え置き、純利益は3億90百万円減額して同29.1%減の7億60百万円とした。船舶売却損失発生は一時的要因であり、特にネガティブ材料とはならないだろう。
近海部門は市況低迷の影響を受けるが、内航部門はセメント・石灰石・石炭などの輸送量が高水準であり、不定期船輸送が高稼働で推移する。内航部門の好調が全体を牽引して燃料価格上昇などを吸収する。第3四半期累計(4月〜12月)の営業利益進捗率は91.6%と高水準であり、通期営業利益再増額の余地を残している。さらに来期(15年3月期)も、震災復興需要の本格化や景気回復を背景として好業績が期待される。パナマの子会社の高コスト船譲渡も収益改善に繋がるだろう。
株価の動きを見ると、1月23日の戻り高値338円から利益確定売りで反落し、その後は全般地合い悪化の影響も受けて水準を切り下げた。ただし3月20日の286円をボトムとして、足元では切り返しの動きを強めている。3月27日は期末配当(4円)落ち分を埋めて前日比9円高と強い動きだった。短期調整が一巡して出直り態勢のようだ。
3月27日の終値303円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS25円89銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間9円で算出)は3.0%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は0.4倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。強基調へ回帰する動きだろう。好業績と指標面の割安感を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
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2014年03月28日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】川崎近海汽船は調整一巡して出直り、好業績と割安感を評価
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