創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ<4573>(JQS)の株価は、全般地合い悪化の影響も受けて軟調展開だったが、2月安値に接近して調整のほぼ最終局面だろう。足元では底打ちの兆しも見せている。好業績を評価して反発のタイミングだろう。
緑内障・高眼圧症治療レスキュラ点眼薬の製造販売、および米スキャンポ社の便秘症治療薬AMITIZA(アミティーザ)カプセル受託製造を主力としている。米スキャンポ社は、AMITIZAカプセルの日本と欧州での販売承認取得や米国での追加新薬承認取得、さらにレスキュラ点眼薬の米国上市など販売地域や適応の拡大戦略を推進している。
新薬開発は網膜色素変性、ドライアイ、アトピー性皮膚炎関連を中心に進めている。重症ドライアイに対する遺伝子組み換え人血清アルブミン(開発コードRU−101)点眼液は、13年4月に新薬臨床試験開始申請が米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた。13年10月には網膜色素変性に対するウノプロストン(UF−021)点眼液の第3相臨床試験症例登録が完了した。そして13年11月には、RU−101点眼液の第1相/第2相臨床試験のステージ1を完了してステージ2の症例登録を開始している。
3月3日には、慶應義塾大学医学部が開発した移植片対宿主病(GVHD)マウスモデルを用いて、GVHDに対する予防法および治療法の探索に関する共同研究を実施すると発表した。GVHDとはドナー(臓器提供者)の臓器が免疫応答によって、レシピエント(患者)の臓器を攻撃することによって起こる症状の総称である。慢性GVHDでは高率にドライアイが発症するため、このマウスを用いて新たな治療法を開発したいとしている。
今期(14年3月期)業績(非連結)見通しは、前回予想(7月16日に増額修正)を据え置いて売上高が前期比16.6%増の53億08百万円、営業利益が同63.8%増の12億85百万円、経常利益が同47.7%増の13億15百万円、純利益が同52.2%増の8億55百万円としている。レスキュラ点眼薬は国内での薬価改定の影響一巡や北米市場への再上市、AMITIZAカプセルは北米向けの販売好調や価格改定、さらに国内での承認取得などで好調に推移する。
第3四半期累計(4月〜12月)は大幅増収増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が79.4%、営業利益が84.2%、経常利益が88.1%、純利益が95.1%と高水準だった。通期再増額の可能性が高いだろう。レスキュラ点眼薬とAMITIZAカプセルの販売数量は国内・北米とも増加基調であり、来期(15年3月期)も好業績が期待される。
株価の動きを見ると、2月4日の直近安値1102円から切り返し、配当予想の増額修正も好感して2月13日に1549円まで戻す場面があったが、その後は全般地合い悪化も影響して再び水準切り下げの展開となった。ただし2月安値に接近して調整のほぼ最終局面のようだ。3月27日は前日比62円安の1128円まで調整する場面があったが、終値では配当(期末25円)落ち分を埋めて前日比変わらずの1190円まで戻している。
3月27日の終値1190円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS44円32銭で算出)は27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.1%近辺、実績PBR(前期実績に株式200分割を考慮したBPS423円33銭で算出)は2.8倍近辺である。日足チャートで見ると、3月27日は安値寄りの後に切り返してほぼ高値引けとなり、中陽線を付けた。2月安値に接近して底打ちした可能性があり、好業績を評価して反発のタイミングだろう。
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2014年03月28日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールテックは底打ちの兆し、好業績を評価して反発のタイミング
【アナリスト水田雅展の銘柄分析の最新記事】
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