株式投資情報動画配信 日本インタビュ新聞社 - You Tube

株式投資情報動画配信 日本インタビュ新聞社 - You Tube

2014年05月21日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビー・エム・エルは高値後の上げ一服局面だが上昇トレンド継続

 受託臨床検査大手のビー・エム・エル<4694>(東1)の株価は、5月9日高値後の上げ一服局面だが、大きく下押すことなく上昇トレンドを継続している。足元では自律調整が一巡したようだ。上値を試す展開だろう。

 臨床検査事業を主力として、腸内細菌検査や食品衛生コンサルティングなどの食品衛生検査事業、電子カルテなどの医療情報システム事業、SMO(治験支援)事業も展開している。事業基盤拡大と収益構造改善に向けてM&Aの活用、クリニック・病院市場の新規顧客開拓、重点検査項目の拡販、子会社の経営合理化などを推進している。食品衛生検査事業は「食の安全」意識の高まりが追い風であり、医療情報システム事業では電子カルテ「クオリス」のブランド向上に向けた取り組みを強化している。

 13年12月には中国・上海における合弁会社(上海千麦博米楽医学検験所有限公司)の設立を発表した。現地で臨床検査センター運営の実績を持つ上海千麦医療投資管理有限公司、上海新虹橋国際医学中心建設発展有限公司との3社合弁で、中国でも臨床検査受託事業を展開する。

 5月12日に発表した前期(14年3月期)連結業績(2月6日に業績・配当予想を増額修正)は、売上高が前々期比4.7%増の990億47百万円、営業利益が同23.4%増の81億88百万円、経常利益が同23.0%増の85億82百万円、純利益が同34.6%増の49億90百万円だった。2月6日の増額修正値を上回る増収増益となり、売上高と営業利益は過去最高を更新した。なお配当予想は同10円増配の年間50円(第2四半期末20円、期末30円)とした。

 セグメント別売上高を見ると、検査事業は同4.1%増の948億69百万円(うち臨床検査事業は同4.2%増の911億62百万円、食品衛生事業・その他検査事業は同1.2%増の37億07百万円)だった。臨床検査事業ではクリニック市場など新規顧客開拓が順調に推移し、重点検査項目拡販に向けた営業強化や、治験分野の国際治験の受託拡大、検体検査のQOLセントラルラボラトリーズの受託拡大なども寄与した。利益面では価格下落が前々期に比べて小幅にとどまり、子会社の第一岸本臨床検査センターの収益改善も寄与した。

 食品衛生事業では放射能検査関連が反動減となったが、腸内細菌検査やノロウイルス検査などの拡販が寄与した。医療情報システム事業は同24.8%増の40億円だった。消費増税前の駆け込み需要で電子カルテ「クオリス」が増加した。その他事業は同29.4%減の1億76百万円だった。SMO(治験業務支援機関)のアレグロが苦戦した。

 今期(15年3月期)連結業績見通しについては売上高が前期比2.0%増の1010億円、営業利益が同0.1%増の82億円、経常利益が同1.0%減の85億円、純利益が同1.8%減の49億円としている。診療報酬改定に伴って取引先からの値下げ圧力が一段と強まり、競争も激化するとして横ばい見込みだ。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地があるだろう。なお配当予想は期末に記念配当を実施して同10円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円)(期末35円=普通配当25円+記念配当10円)とした。

 今期の重点課題として、主力の臨床検査事業ではクリニック市場での新規顧客開拓、首都圏のラボ拠点再編・整備、ピロリ菌関連検査やアレルギー検査など重点検査項目の拡販、食品衛生事業では新検査センター開設(14年5月、埼玉県川越市)による検査領域・検査数量の拡大、厚生労働省の「登録検査機関」の資格取得、医療情報システム事業では「クオリス」の拡販、サポート体制の強化、さらに海外事業では上海における合弁事業の本格稼働に取り組むとしている。収益基盤の強化が一段と進みそうだ。

 株価の動きを見ると、5月9日に4050円まで上値を伸ばし、4月1日の4015円を突破して高値を更新した。その後は地合い悪化も影響して上げ一服の展開だが、大きく下押すことなく概ね3800円近辺で堅調に推移している。5月20日は終値で前日比65円高と反発した。今期好業績を期待する動きだろう。

 5月20日の終値3855円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS230円72銭で算出)は16〜17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2598円60銭で算出)は1.5倍近辺である。週足チャートで見ると14年1月〜3月の短期ボックスレンジから上放れて上昇トレンドを継続している。足元は13週移動平均線が接近して自律調整が一巡した形であり、再動意で上値を試す展開だろう。

>>ビー・エム・エルのMedia−IR企業情報

◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!


提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:23 | アナリスト銘柄分析