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2014年06月27日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ラクーンは5月安値から急伸し底打ち、再動意のタイミング

 企業間電子商取引(EC)サイトを運営するラクーン<3031>(東マ)の株価は、5月20日の年初来安値394円から切り返しの展開となり、6月3日の596円までほぼ一本調子に急伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、足元では520円〜530円近辺で推移している。5月20日安値で底打ちを確認した形であり、中期成長力を評価して再動意のタイミングだろう。

 アパレル・雑貨分野の企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の運営を主力として、締め支払い決済「Paid」サービスや「売掛債権保証」など周辺分野にも事業領域を広げている。

 企業間ECサイト「スーパーデリバリー」は、質の高い会員小売店と出展企業の獲得、利便性の高いサービスの提供、ブランド力向上などで客単価や稼働率の向上に取り組み、前期(14年4月期)末時点で会員小売店は4万441店舗(前々期末比3901店舗増加)、出展企業は948社(同13社減少)、商材掲載数は45万3115点(同8万3396点増加)となった。

 新規事業として14年3月からクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。利用企業の業種や規模を問わず、すべてのBtoBにおける受発注をWeb一元管理できるクラウド受発注ツールだ。利用企業の業種や規模に縛られない「Paid」サービスや「売掛債権保証」に続くサービスとして事業を拡大する方針で、前期末時点のユーザー数は384社となった。

 14年3月には、連結子会社トラスト&グロースが宅建ブレインズと業務提携した。宅建ブレインズの居住用家賃保証サービス「宅建ハトさん保証」の新商品である事業用家賃保証サービスの保証業務を、トラスト&グロースが開始した。従来から展開している企業の販売先に対する売掛債権保証サービスに加えて、売掛債権保証とは異なる企業与信に関するノウハウを蓄積して業容拡大に繋げる戦略だ。

 また14年5月には、企業間ECサイト「スーパーデリバリー」内に什器や梱包資材だけを扱う「什器・資材市場」を新設した。大手什器・梱包資材メーカー6社が、サイト内に新設された店舗備品販売専門コーナーで販売を開始した。

 6月6日に発表した前期(14年4月期)の連結業績は、売上高が前々期比4.6%増の102億45百万円、営業利益が同36.6%増の2億47百万円、経常利益が同40.8%増の2億48百万円、純利益が同7.8%減の1億23百万円だった。配当予想は13年5月1日付の株式300分割を考慮すると実質的に同25銭増配の年間4円25銭(期末一括)とした。

 純利益はソフトウェア減損損失計上、繰越欠損金に係る繰延税金資産取崩、税負担正常化で減益だったが、EC事業の会員数や取扱高の増加が牽引し、人件費や減価償却費の増加を吸収して営業利益と経常利益は計画を上回る増益だった。

 セグメント別(内部取引消去前・全社費用等調整前)に見ると、EC事業は売上高が同4.1%増の98億78百万円、営業利益が同12.8%増の1億42百万円だった。会員数増加に伴って企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の商品売上高が同4.1%増の92億40百万円と順調に増加した。締め支払い決済「Paid」サービスも取扱業界が順調に拡大した。

 売掛債権保証事業は売上高が同18.7%増の5億01百万円、営業利益が同2.0倍の71百万円だった。保証残高が同27.1%増の46億88百万円(連結グループ内の保証残高7億61百万円を含む)と順調に増加して、営業損益が改善した。営業強化策が奏功した。

 今期(15年4月期)の連結業績見通しは、売上高が106億円〜109億円(前期比3.5%増〜6.4%増)、営業利益が2億75百万円〜2億85百万円(同11.3%増〜15.4%増)、経常利益が2億70百万円〜2億80百万円(同8.9%増〜12.9%増)、純利益が1億45百万円〜1億55百万円(同17.9%増〜26.0%増)としている。なお配当予想は未定としている。

 EC事業では、質の高い会員小売店と出展企業の獲得、利便性の高いサービス提供などで客単価や稼働率の向上を図り、企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の商品売上高が順調に増加する。クラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の14年9月からのビジネスプラン課金開始や、売掛債権保証事業の営業損益改善も寄与して好業績が期待される。中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、5月20日の年初来安値394円から切り返しの展開となり、6月3日の596円までほぼ一本調子に急伸した。その後は利益確定売りで6月12日の488円まで一旦反落したが、足元では520円〜530円近辺で推移している。5月20日安値で底打ちを確認して戻り歩調の形だろう。

 6月26日の終値519円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社レンジ予想の連結EPS上限値26円52銭で算出)は19〜20倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS264円17銭で算出)は2.0倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が一旦戻りを押さえたが、13週移動平均線がサポートラインの形だろう。また日足チャートで見ると、右肩上がりの25日移動平均線がサポートラインとなって再動意のタイミングのようだ。中期成長力を評価して出直り展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:38 | アナリスト銘柄分析