化学機械メーカーの巴工業<6309>(東1)の株価は、5月22日の直近安値1550円から切り返しの展開となり、6月12日の1738円まで上伸した。足元も概ね1700円近辺で堅調に推移している。調整が一巡して出直り展開だろう。今期(14年10月期)好業績見通しや低PBRが支援材料であり、4月の戻り高値1763円を突破すれば上げ足に弾みがつきそうだ。
遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱としている。中国ではコンパウンド加工事業も展開し、13年11月には中国の連結子会社・星科工程塑料に対するテクノポリマーおよび日本カラリングの出資持分をすべて譲り受けた。両社との資本・業務提携を解消し、当社主導で収益を立て直す方針だ。
13年12月に策定した中期経営計画「Target2016」では、経営目標値として16年10月期売上高475億円、営業利益25億80百万円、経常利益26億円、純利益16億円、ROE6.3%、ROA4.4%を掲げている。重点戦略としては、北米市場、南米市場、東南アジア市場を中心とする海外売上高の拡大に加えて、機械事業ではエネルギー分野への参入、化学品事業では二次電池やパワー半導体向け商材の開拓に取り組むとしている。
6月4日に発表した今期(14年10月期)第2四半期累計(13年11月〜14年4月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.0%増の199億57百万円、営業利益が同15.2%減の8億46百万円、経常利益が同4.8%減の10億24百万円、純利益が同22.6%増の7億74百万円だった。化学工業製品販売事業が好調だったが、機械製造販売事業がやや低調で営業減益だった。ただし純利益は、営業外収益での非連結子会社からの配当収入や、特別利益での負ののれん発生益が寄与して増益だった。
セグメント別に見ると、機械製造販売事業は売上高が同8.3%減の50億34百万円、営業利益が同52.5%減の2億99百万円だった。国内官需向け機械が堅調だったが、国内民需向け機械、海外向け部品・修理、北米向け機械などがやや低調だった。収益性の低い案件の計上も影響した。
化学工業製品販売事業は、売上高が同7.5%増の149億23百万円、営業利益が同48.3%増の5億47百万円だった。化成品分野の紫外線硬化樹脂、機能材料分野の半導体製造用セラミックス、工業材料分野の住宅・建設用途向け材料が好調だった。利益率の高い商材の伸長も寄与した。
通期の連結業績見通しについては、前回予想(13年12月12日公表)を据え置いて売上高が前期比8.2%増の413億円、営業利益が同27.3%増の19億30百万円、経常利益が同22.0%増の20億50百万円、純利益が同42.7%増の12億円、配当予想が前期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)としている。
セグメント別の計画を見ると、機械製造販売事業は売上高が同18.1%増の110億円、営業利益が同67.0%増の8億80百万円、化学工業製品販売事業は売上高が同5.0%増の303億円、営業利益が同6.3%増の10億50百万円としている。期初計画に対して機械製造販売事業を減額、化学工業製品販売事業を増額した。設備投資需要の回復が追い風となり、中国のコンパウンド加工事業の収益改善も寄与して好業績が期待される。
株価の動きを見ると、2月安値1518円を割り込むことなく、5月22日の直近安値1550円から切り返しの展開となり、6月12日の1738円まで上伸した。その後一旦は利益確定売りで反落する場面があったが、足元は概ね1700円近辺で堅調に推移している。今期好業績見通しを評価する動きだろう。
6月26日の終値1700円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS120円26銭で算出)は14〜15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2340円34銭で算出)は0.7倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して上伸した。5月の直近安値で調整が一巡して出直り展開だろう。低PBRも支援材料であり、4月の戻り高値1763円を突破すれば上げ足に弾みがつきそうだ。
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2014年06月27日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】巴工業は一巡し出直り展開、4月高値突破すれば上げ足に弾み
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:47
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