LED照明機器商社のノア<3383>(名セ)の株価は、5月安値705円から切り返し、6月17日には1250円まで上伸する場面があった。足元も1000円〜1100円近辺で推移している。5月安値で一旦は底打ちしたようだ。なお上場を維持するためには新規上場審査基準に準じた基準に適合する必要があり、審査申請に向けて全力を尽くす所存としているが、上場審査基準に適合する状態ではないため上場廃止の可能性があり、注意が必要となる。
LED照明機器の販売を主力として、太陽光パネルなど環境商材の販売も展開している。
今期(14年6月期)の業績(非連結)見通しについては5月30日に修正を発表した。前回予想(2月19日公表)に対して、売上高は16百万円増額して前期比10.9%増の3億37百万円、営業利益は3百万円増額して58百万円の赤字(前期は94百万円の赤字)、経常利益は3百万円増額して58百万円の赤字(同95百万円の赤字)、純利益は据え置いて61百万円の赤字(同71百万円の赤字)とした。
第3四半期累計(7月〜3月)実績を踏まえて売上高・利益とも見直した。販管費削減などで営業赤字幅はやや縮小するが、競争激化による単価下落、新規顧客開拓の遅れ、入札案件の獲得不振などでLED照明機器事業が伸び悩んでいる。純利益については減損損失計上も影響する。
第3四半期累計末時点で40百万円の債務超過となり、継続企業の前提に関する重要事象等が注記されている。当該状況を解消すべく、LED照明機器販売事業の拡販、新たな環境関連商材の販売、新規事業の開発といった重点課題への取り組みに加えて、新株予約権の行使および第三者割当増資などによる資金調達で、債務超過を早期に解消していく方針としている。
なお、14年2月の月間平均時価総額および月末時価総額が所要額(14年3月まで2億円から1.8億円に変更して適用)未満となったため、5月30日に「事業の現状、今後の展開、事業計画の改善等について」の書面を名古屋証券取引所に提出した。本書面の提出により、14年11月末日までのいずれかの月において、月間平均時価総額および月末時価総額が2億円以上となった時は、上場廃止基準に該当しないことになる。
ただし、現在「合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期間」に入っているため、上場を維持するためには新規上場審査基準に準じた基準に適合する必要があり、そのための審査申請には制度上取引参加者(証券会社)が作成した確認書の提出が義務付けられている。しかし、証券会社に対して幹事就任を打診しているが、現時点で受託を得るに至っていない。
猶予期間が終了する14年6月30日までに当該審査を終了しない場合は、14年7月1日から監理銘柄(確認中)に指定される。そして猶予期間終了後最初の有価証券報告書提出日から起算して8日目(休業日は除く)の日までに審査申請を行えない場合は、整理銘柄に指定され、1ヶ月間の整理売買を経て上場廃止となる。
また現状は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況の解消に至っていないため、上場審査基準に適合する状態ではない。したがって14年11月末日までのいずれかの月において、月間平均時価総額および月末時価総額が2億円以上となった場合でも、上場廃止となる事由がある。
なお6月13日には、筆頭株主であるNR投資事業組合に付与している新株予約権2万株の強制行使に関して、6月13日に払込が完了したと発表している。本新株予約権の行使により債務超過額が改善されたが、債務超過の解消には至っていない。
株価の動きを見ると、5月19日の年初来安値705円から切り返しの展開となり、6月9日に1225円、そして6月17日に1250円まで上伸する場面があった。足元も1000円〜1100円近辺で推移している。6月26日の終値は1013円だった。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、5月19日安値で一旦は底打ちしたようだ。
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2014年06月27日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ノアは5月安値で一旦は底打ち、ただし上場廃止の可能性があり注意必要
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:53
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