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2014年06月27日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】FPGは新株式発行・売出しを嫌気した売り一巡、収益拡大基調を評価して出直り

 タックス・リース・アレンジメント事業を主力に総合金融サービスを展開するFPG<7148>(東1)の株価は、950円〜1050円近辺でモミ合う展開だったが、5月30日発表の新株式発行・売出しを嫌気して急落し、概ね900円近辺でモミ合う展開だ。ただし2月安値813円水準まで下押す動きは見られず、売り一巡感を強めている。収益拡大基調を評価して出直り展開だろう。

 子会社(特別目的会社SPC)が運営するオペレーティング・リース事業の組成・販売・管理などを行うタックス・リース・アレンジメント事業を主力として、保険事業(保険仲立人)、M&Aアドバイザリー事業、プライベートバンキング事業、不動産関連事業なども展開している。

 タックス・リース・アレンジメント事業は、航空機・船舶・海上輸送用コンテナなど、大型輸送設備を主対象としてリース組成し、出資金販売に伴うSPCからの手数料収入を収益柱としている。
 13年11月には、独立系の大手航空機リースマネジメント会社であるアメンタム社(アイルランド)の株式25%を取得して資本業務提携し、航空機リース組成事業を強化した。そして6月19日には、アメンタム社と航空機を対象にした日本型オペレーティング・リース第1号案件の組成を行い、当該出資金の販売を完了したと発表している。

 高収益オーナー企業や富裕層などの投資家に対して、各種金融商品・サービスを提供するワンストップ型総合金融サービス会社を目指し、収益構造の多角化に向けた取り組みを推進している。13年3月にFPG証券(旧フィンテックグローバル証券)を子会社化して証券業、13年6月に子会社FPGリアルエステートを設立して不動産関連事業に進出した。さらに14年4月には第一投資顧問を子会社化して投資顧問業に進出した。

 なお投資家がリース事業に出資するか否かの意思決定は、投資家自身の業績動向が判明する決算月近くに行われる傾向があるため、当社の売上高は第2四半期(1月〜3月)および第4四半期(7月〜9月)に集中する傾向が強い収益構造である。

 今期(14年9月期)連結業績見通し(4月16日に増額)は売上高が前期比35.7%増の54億43百万円、営業利益が同30.1%増の27億12百万円、経常利益が同23.0%増の24億12百万円、純利益が同23.1%増の14億59百万円で、リース事業組成金額は同44.5%増の1422億01百万円、出資金販売額は同26.4%増の323億83百万円としている。配当予想は13年6月1日付の株式3分割を考慮すると実質的に16銭増配の年間16円50銭(期末一括)としている。

 信用力向上に伴って、全国の会計事務所や金融機関からの顧客(投資家)紹介が一段と増加傾向のようだ。企業収益の改善なども背景に出資金販売額が大幅に増加して、業容拡大に伴う人件費や経費の増加を吸収する。出資金に含まれる手数料率は概ね14〜15%の高水準を維持しているようだ。

 第2四半期累計(10月〜3月)の進捗率は売上高が56.8%、営業利益が64.6%、経常利益が61.6%、純利益が62.2%と高水準である。下期に販売予定だった出資金の一部を前倒し販売したためとしているが、通期再増額の可能性があるだろう。

 10年9月JASDAQ市場上場、11年10月東証2部市場上場、12年10月東証1部市場への指定替えによって信用力が向上し、公募増資や利益積み上げによる財務体質向上効果も寄与して、販売提携先からの紹介を含めた投資家に対する出資金販売力、金融機関からの資金調達力、そしてリース事業の案件組成能力が大幅に強化されている。ワンストップ型総合金融サービス会社を目指して参入した新規分野も寄与して、来期(15年9月期)以降も収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、950円〜1050円近辺でモミ合う展開だったが、5月30日発表の新株式発行・売出しを嫌気して急落し、その後は概ね900円近辺でモミ合う展開となった。ただし2月安値813円水準まで下押す動きは見られず、売り一巡感を強めている。なお新株式発行価格および売出し価格は890円である。

 6月26日の終値906円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想に新株式発行520万株を考慮した連結EPS46円69銭で算出)は19〜20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円50銭で算出)は1.8%近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下押す動きは見られず売り一巡感を強めている。収益拡大基調を評価して出直り展開だろう。


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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:56 | アナリスト銘柄分析