アンカー大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)の株価は、13年夏の1200円近辺を起点とする上昇トレンドを継続している。足元は6月18日の高値2921円から利益確定売りで一旦反落した形だが、自律調整の範囲であり押し目買いの好機だろう。今期(15年3月期)の保守的な会社見通しに対して上振れの可能性があり、収益拡大基調を評価して上値追いの展開だろう。
ファスニング事業(あと施工アンカー、アンカー打込み機など)、リニューアル事業(FRPシート、太陽光発電関連など)、センサー事業(電子基板関連試験機、アルコール測定器など)を展開している。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類であり、震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連など建設工事の増加が追い風である。リニューアル事業の太陽光発電関連商材もメガソーラーの増加が追い風である。中期的に事業環境は良好だ。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月14日公表)については、売上高が前期比4.6%増の180億円、営業利益が同0.4%増の15億20百万円、経常利益が同0.5%増の14億80百万円、純利益が同4.4%増の9億50百万円で、配当予想は前期から記念配当5円を落として年間25円(期末一括)としている。
セグメント別(内部取引等調整前)の計画を見ると、ファスニング事業は売上高が同5.1%増の137億57百万円、営業利益が同4.7%増の11億76百万円、リニューアル事業は売上高が同2.6%増の37億円、営業利益が同11.7%減の3億18百万円、センサー事業は売上高が同16.7%増の7億56百万円、営業利益が同17.4%増の27百万円としている。
ファスニング事業は、都市圏の再開発事業や耐震化工事、社会インフラ維持保全需要の増加などを追い風として、金属系・接着系あと施工アンカー、ドリルなどの施工関連ツール、引張確認試験機、電動油圧工具などが好調に推移する。リニューアル事業では、太陽光発電関連工事・商材がメガソーラー向けやハウスメーカー向けに好調だ。センサー事業は電子基板関連の試験機が好調のようだ。
需要は高水準に推移するが、ゼネコンにおける人手不足や工事遅れの影響、リニューアル事業における工事原価の上昇、さらに50周年記念イベントに伴う販管費の増加、給与水準引き上げに伴う人件費の増加、設備投資の増加などを考慮して、利益は前期比横ばいの計画としている。
しかし会社予想には保守的な印象が強く、利益率の高い新商品比率の上昇も寄与して、上振れ余地があるだろう。国土強靭化計画や20年東京夏季五輪など事業環境は良好であり、新製品の開発・拡販、さらに海外展開の本格化も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、4月以降は上げ一服となり、概ね高値圏2300円〜2500円近辺でモミ合う展開だったが、5月30日に2580円を付けて4月2日の2550円を突破し、さらに6月18日には2921円まで上伸して高値更新の展開となった。足元は利益確定売りで一旦反落したが、自律調整の範囲だろう。
6月27日の終値2690円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円45銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1999円86銭で算出)は1.3倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形で、13年夏1200円近辺を起点とする上昇トレンドを継続している。また日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して反発のタイミングのようだ。上値追いの流れに変化はなく、自律調整局面は押し目買いの好機だろう。
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2014年06月30日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サンコーテクノ上昇トレンドに変化なく、調整局面は押し目買い好機
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:41
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