国内最大規模の翻訳会社である翻訳センター<2483>(JQS)の株価は、5月21日の年初来安値2810円から切り返しの展開となり、ほぼ一本調子に水準を切り上げている。6月24日には3765円まで上伸して4月4日の3670円を上抜いた。5月安値での底打ちを確認して強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
特許・医薬・工業(IT関連)・法務・金融分野を中心として企業向け翻訳サービス事業を展開している。企業の知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、ディスクロージャー関連など翻訳サービス需要は拡大基調であり、M&Aも活用して業容を拡大している。
12年9月には通訳・翻訳・国際会議運営のアイ・エス・エス(ISS)を連結子会社化した。ISSは国際会議運営の実績が豊富であり、20年東京夏季五輪開催に向けて通訳や国際会議の需要増加が予想され、収益寄与本格化が期待される。また13年6月にはアイタスから、IT関連のローカライゼーション/マニュアル翻訳事業の一部を譲り受けた。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月14日公表)は売上高が前期比7.1%増の94億円、営業利益が同31.7%増の4億80百万円、経常利益が同33.3%増の4億80百万円、純利益が同50.8%増の2億70百万円で、配当予想は同3円増配の年間48円(期末一括)としている。
主力の翻訳事業は、特許分野では企業の知的財産関連部署への拡販、医薬分野では主要ターゲットであるメガファーマへの深耕、工業分野では自動車関連企業からの受注拡大、金融・法務分野ではIR関連資料の制作体制強化など、積極的な営業展開の効果を見込んでいる。ISSグループの通訳事業や通訳者派遣事業なども好調に推移し、増収効果で人件費増加などを吸収する。東京本部移転費用の一巡なども寄与して、営業損益が大幅に改善する見込みだ。翻訳サービスの需要は中期的に拡大基調であり、20年東京夏季五輪に向けて通訳関連の需要拡大も期待される。
株価の動きを見ると、1月の戻り高値5790円から反落後は軟調展開が続いたが、5月21日の年初来安値2810円から切り返しの展開となり、ほぼ一本調子に水準を切り上げている。6月24日には3765円まで上伸する場面があり、4月4日の3670円を上抜いた。5月安値での底打ちを確認して中期成長力を評価する動きだろう。
6月30日の終値3650円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS160円28銭で算出)は22〜23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1536円34銭で算出)は2.4倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。5月安値で底打ちして強基調に転換した形であり、26週移動平均線を突破すれば出直りの動きに弾みがつきそうだ。
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2014年07月01日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】翻訳センターは5月安値で底打ちして強基調に転換
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:48
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