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2014年07月19日

【小倉正男の経済羅針盤】GPIF 「池のなかの鯨」になれるか?

■少しは「池のなかの鯨」らしくなった?

小倉正男の経済羅針盤 世界最大の年金基金といわれるのが、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)である。

 GPIFは現状129兆円の運用資産を持ち、運用資金規模でみれば「世界最大の機関投資家」だ。
とかくガチガチな保守的運用が特色だが、それをほんの少し転換する動きが出ている。GPIFが、運用方針を国債中心は変わらないが、株式を増加させる動きを採用しているというのである。

 GPIFの運用成績は、2013年度10兆2207億円の黒字(収益率8.64%)。過去2番目の黒字額だ。過去最高の黒字・利回りは、2012年度の11兆2000億円(収益率10・23%)。

 それまでは資金運用成績は目も当てられない散々な低空飛行が続いていた。ほとんど死んでいた株式市場が急活発化したことが、この様変わりの運用黒字を呼んでいる。

 アベノミクス発動(2012年12月)による株式上昇が大きく貢献しているのは間違いない。GPIFの資金運用といえば、誰も期待しないというか、噴飯ものというのが過去の定評だった。
 アベノミクスのおかげで、少しは「池のなかの鯨」らしくなった、というべきか。

■GPIF=日本国債の「受け皿」構造は不変か

 2013年度の運用資金は126兆5771億円――。その運用内訳は、国内債券55.43%、国内株式16・47%となっている。

 従来、基本ポートフォリオは国内債券60%、国内株式12%とされてきた。国内債券とは、すなわち国債のことだが、一目瞭然、国債が減り、株式が増加している。
この傾向はさらに強まっており、国内債券50%、国内株式20%になるとみられている。

 日本の国債金利は長期物でも1%を割っており、これを支えてきているのがGPIFの大量の国債買いである。GPIFは、日本国債の「受け皿」といわれている。

 GPIFの国債買いが、日本の公共投資資金となり、低金利=円安誘導の源泉となっている。おそらく、国内株式への資金運用が多少増えても、国債の「受け皿」構造は変らないのではないか。

■世界の年金基金=その運用方針

 世界の年金基金の運用方針だが、各国まちまちである。国債中心のところもあり、株式の比重が大きいところもある。

 アメリカでは、老齢遺族保険信託基金や傷害保険信託基金などはアメリカ国際(特別債券など)のみの運用だ。それでもよい時は10%を大きく超える利回りがあり、最低でも4〜5%の運用収益を上げている。
 ちなみに日本の国債金利では、こうした事態は考えられず、「日本国債の罠」にドップリはまっているようなものだ。

 アメリカでもカリフォルニア州職員退職年金基金、ニューヨーク州職員退職年金基金などは株式を中心に据えた資金運用を行っている。これらはアメリカ国債が30%内外に抑えられている。

 要はプロが運用しており、リーマン・ショックのように「株式の罠」、すなわちリスクがあれば運用方針を機敏に変えるのが基本だ。それでも穴が空く時は空く。資金運用リスクは避けられない。

 日本のGPIFの問題点は、まさにそこだ。「池のなかの鯨」どころか、「池のなかの蛙」よろしくいつまでも「天下り」の温床でぬくぬくと過ごす独立行政法人、というのはいまどき少し不届きすぎないか・・・。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:35 | 小倉正男の経済コラム