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2014年08月05日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東京個別指導学院は4月高値を突破して06年6月以来の高値水準

 小中高校生向け個別指導学習塾を展開する東京個別指導学院<4745>(東1)の株価は、7月4日に472円まで急伸して4月高値471円を突破し、7月7日の490円まで上値を伸ばした。06年6月以来の高値水準だ。第1四半期の赤字などが嫌気されて一旦反落したが、400円近辺で下げ渋り短期調整一巡感を強めている。今期(15年2月期)増収増益見通しを評価して7月高値を試す展開だろう。

 ベネッセコーポレーション<9783>グループで、小中高校生向けの個別指導学習塾を展開している。前期(14年2月期)末の教室数は首都圏158教室、関西地区37教室、東海地区8教室、九州地区5教室の合計208教室で、小中高校生合計の期中平均在籍人数は前々期比8.6%増の2万3790人だった。

 テレビCMの実施、Webマーケティングの積極的活用、ベネッセコーポレーションとの連携強化、自社コールセンターの強化、新規教室開校、顧客の利便性や収益性の改善を目指した教室移転・リニューアル・増床、iPadを活用した映像学習の全教室導入、目的別・学力別・性格別完全オーダーメイド個別指導の強化などで、新規入会者・在籍生徒数の増加を推進している。

 14年4月には、13年10月発表の中期経営計画「Shining☆2015」のローリングプランを発表している。前期実績が計画を上回ったことなどを考慮して売上高目標を上方修正し、16年2月期の売上高169億円以上(修正前は163億円以上)、営業利益23億円以上、教室数219教室、生徒数(4月末)2万4500人以上とした。

 7月9日には、インターネットによる個別指導「東京個別指導学院ネット教室」のサービスを14年8月から開始すると発表した。中期経営計画「Shining☆2015」の重点戦略の一つとして進めてきた新規事業で、パソコンやモバイル端末を活用した高い双方向性通信によって、各教室にて提供している高品質・高付加価値の授業の再現が可能になるとしている。

 7月9日に発表した今期(15年2月期)第1四半期(3月〜5月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比8.8%増の28億70百万円、営業利益が8億52百万円の赤字(前年同期は8億26百万円の赤字)、経常利益が8億51百万円の赤字(同8億25百万円の赤字)、純利益が5億39百万円の赤字(同5億23百万円の赤字)だった。

 売上面では、新規教室開校やマーケティング戦略効果で入会者数が増加し、春季講習会も堅調で増収だった。6月10日発表の第1四半期の新規入会者数(速報値)は同10.0%増の6069人、第1四半期末の在籍生徒数(速報値)は同7.9%増の2万2638人だった。利益面では、新規教室開校や積極的なマーケティング戦略に伴う費用増加で営業赤字が拡大したが、概ね計画水準としている。

 なお学習塾・教育関連業界の特徴として、四半期ごとに業績の季節変動が発生しやすい収益構造となっている。春季は卒業などで一時的に在籍生徒数が減少する時期(当社の場合は第1四半期)のため営業赤字となりやすい。このため第1四半期の営業赤字はネガティブ要因とはならない。また春季・夏季・冬季の各講習会で売上が増加するとともに、生徒募集活動に伴う広告宣伝費や講師給与なども同じ時期に集中して増加する傾向が強い。

 通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月9日公表)を据え置いて売上高が前期比10.1%増の157億72百万円、営業利益が同25.9%増の16億02百万円、経常利益が同25.6%増の16億05百万円、純利益が同23.4%増の9億10百万円、配当予想については同2円増配の年間8円(第2四半期末4円、期末4円)としている。

 新規開校は7教室の計画で、7月に7教室目の「溝の口南口教室(神奈川県川崎市)」を新規開校して直営教室数は215教室となった。新規教室開校や生徒獲得活動強化策の効果で新規入会者数および在籍生徒数が増加し、14年4月に開始した通信教育と個別指導の連携で自学自習を育む新サービス「進研ゼミ個別サポート教室」の全教室での実施、14年4月にベネッセコーポレーションから譲り受けた「Benesseサイエンス教室」「Benesse文章表現教室」など新分野への事業展開、そしてコストの効率化や適正化なども寄与して大幅増収増益見込みだ。

 少子化による学齢人口の縮小が継続しているが、一方では政府主導で教育内容変更など将来に向けた教育改革が検討され、生徒および保護者の教育環境変化への不安・関心の高まりが学習塾への期待感に繫がっている。さらに祖父母から孫への15百万円までの教育資金贈与非課税制度について、政府は15年度までとしていた期限を2〜3年延長する方針であり、追い風となりそうだ。

 なお7月9日に株主優待制度の変更を発表した。従来の制度(当社が運営する東京個別指導学院および関西個別指導学院の各教室における通常授業料の優待割引、当社が運営するBenesseサイエンス教室およびBenesse文章表現教室の各教室における受講料の優待割引)に加えて、14年8月からサービス開始予定の「東京個別指導学院ネット教室」における株主優待割引の適用(基本授業料の優待割引)を実施する。

 株価の動きを見ると、7月3日に399円まで急伸して350円近辺での短期モミ合いから上放れ、7月4日に472円まで急伸して4月高値471円を突破した。さらに7月7日には490円まで上値を伸ばした。06年6月以来の高値水準だ。その後は第1四半期の営業赤字や親会社ベネッセコーポレーションにおける顧客情報流出問題も嫌気される形となって7月22日の392円まで反落した。ただし400円近辺では下げ渋る動きだ。足元では420円台まで戻す場面があり短期調整一巡感を強めている。

 8月4日の終値415円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS16円77銭で算出)は24〜25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS128円21銭で算出)は3.2倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなって反発の動きを強めている。また週足チャートで見ると、サポートラインの13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。7月高値490円を試す展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:57 | アナリスト水田雅展の銘柄分析