投資用マンション企画・販売の陽光都市開発<8946>(JQS)の株価は、強基調に転換して水準切り上げの動きを強めている。子会社の販売用不動産売買契約締結を好感して9月11日に273円まで急伸し、1月高値270円を突破した。その後220円近辺まで一旦反落したが、9月29日に267円まで戻して上値を試す動きを強めている。収益改善、財務基盤強化、中期成長に向けた積極投資を評価する流れに変化はなく、13年4月高値372円を目指す展開だろう。
投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を縮小し、不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへの事業構造転換で収益基盤を強化した。13年8月アパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約を締結し、13年10月ストライダーズ<9816>と資本業務提携した。
中期成長に向けて中国での不動産関連事業を展開する。14年2月に柏雅資本集団控股有限公司(香港柏雅)の連結子会社化が完了し、香港柏雅の子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)有限公司(酒店管理)、および孫会社でサービスアパートメントをサブリース管理方式でオーナーから賃借して運営管理する上海柏雅投資管理有限公司(投資管理)も合わせてベルグラビアグループ3社を連結化した。
その後14年6月ベルグラビアグループ3社のうち投資管理の全株式を中国・深圳市花様年物業服務有限公司に譲渡し、14年7月には上海など中国の主要都市においてワンルームマンション賃貸事業を展開するため、香港柏雅の子会社(当社孫会社)となる陽光智寓(香港)公寓管理有限公司(陽光智寓)を設立すると発表した。陽光智寓は上海において新規事業の実務を行うことを目的とした新会社を設立する予定だ。
中国でのワンルームマンション賃貸事業については、中国・上海およびその周辺都市の中古オフィスや工場施設など現在未使用の物件を長期契約(10年程度)で借り上げ、ワンルームマンションへの改装・内装工事を実施後に主として若年層向けに賃貸する。今下期(7月〜12月)に事業開始する予定で、年間1棟ペースで物件借り上げ契約を進める方針だ。中国事業の積極展開で中期的な収益拡大が期待される。
今期(14年12月期)の連結業績見通しは前回予想(2月28日公表)を据え置いて、売上高が前期比67.1%増の17億60百万円、営業利益が同22.6%増の1億29百万円、経常利益が同66.0%増の1億円、純利益が同62.8%増の90百万円としている。不動産販売事業で投資用マンション1棟引き渡しが牽引し、不動産管理事業の着実な拡大、新規連結のベルグラビアグループも寄与して大幅増収増益見通しだ。
第2四半期累計(1月〜6月)は前年同期比95.0%増収、29.2%営業増益、45.5%経常増益、2.5%最終増益だった。関係会社株式売却損の計上で純利益の伸びは小幅だったが、新築投資用マンション(横浜市・36戸)の引き渡しや、ベルグラビアグループの新規連結が寄与して大幅増収となり、営業損益も改善した。通期見通しに対する進捗率は売上高が59.8%、営業利益が68.2%、経常利益が72.0%、純利益が51.1%と高水準である。
また9月10日には、連結子会社のGFインベスターズワンが販売用不動産のホテル(北海道函館市)について売買契約を締結(引渡日9月25日)したと発表した。売却価格は約6億01百万円(消費税等含む)で、本物件の売却によって連結業績には不動産販売売上および不動産販売利益の計上が見込まれるが、2月28日公表の今期連結業績見通しには織り込んでいないため、業績見通しの修正について詳細が確定次第開示するとしている。
徳威企業発展有限公司(上海)およびストライダーズによる当社新株予約権行使などで第2四半期末(14年6月末)の自己資本比率は28.8%、1株当たり純資産(BPS)は55円10銭となり、前期末(13年12月末)の自己資本比率9.0%、BPS19円92銭に対して財務基盤が大幅に改善している。財務基盤強化によってM&Aの積極化や不動産販売事業の再構築も目指す方針だ。
株価の動きを見ると、急伸した7月28日247円から一旦反落し、200円〜220円近辺での短期モミ合いを経て、子会社の販売用不動産売買契約締結を好感して9月11日に273円まで急伸する場面があり、1月高値270円を突破した。その後220円近辺まで一旦反落したが、9月29日に267円まで戻して上値を試す動きを強めている。収益改善や財務基盤強化を評価する動きだろう。
9月29日の終値263円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円50銭で算出)は35倍近辺、実績PBR(今期第2四半期末実績の連結BPS55円10銭で算出)は4.8倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復して上伸し、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。収益改善や財務基盤強化、そして中期成長に向けた積極投資を評価する流れに変化はなく、13年4月高値372円を目指す展開だろう。
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2014年09月30日
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】陽光都市開発は強基調に転換して1月高値突破、13年4月高値目指す
【アナリスト水田雅展の銘柄分析の最新記事】
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:02
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