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2014年12月22日

【アナリスト水田雅展の銘柄診断】日本アジアグループは再生可能エネルギー買い取り制度の不透明感が後退して切り返し

 社会インフラ関連やメガソーラー関連の日本アジアグループ<3751>(東マ)の株価は、第2四半期累計(4月〜9月)の大幅営業増益や第3回〜第6回新株予約権の取得・消却も好感して11月25日の735円まで上伸した。その後は12月10日の582円まで調整する場面があったが、600円近辺で調整一巡感を強めている。再生可能エネルギー買い取り制度見直しに対する不透明感が後退して切り返し展開だろう。

 インフラ・環境・エネルギー関連にグループ経営資源を集中し、空間情報コンサルティング事業(国際航業の防災・減災・社会インフラ関連事業)、グリーンプロパティ事業(土壌・地下水保全コンサルティング、戸建住宅・不動産関連、太陽光発電施設の設計施工など)、グリーンエネルギー事業(欧州と国内での太陽光発電所開発・運営・売電事業)、ファイナンシャルサービス事業(日本アジア証券などの証券業)を展開している。震災復興・防災・減災・社会インフラ更新関連、メガソーラー関連、環境・エネルギー関連などテーマ性は多彩である。

 再生可能エネルギー関連事業に関して、14年10月には傘下のJAG国際エナジーが、東京都が創設する官民連携再生可能エネルギーファンドの運営事業者に選定された。また12月18日にはシーベルインターナショナルへの資本参加を発表した。シーベルの流水式(超低落差型)小水力発電装置スモールハイドロストリームを活用して、小水力発電事業を再生可能エネルギー関連事業の第2の柱に育成する方針だ。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月13日に増額修正)は売上高が前期比1.8%増の757億円、営業利益が同2.7%増の29億円、経常利益が同23.2%減の29億円、純利益が同3.7%増の26億円としている。空間情報コンサルティング事業の収益性向上やグリーンエネルギー事業における国内メガソーラーの稼働増加が牽引して売上高、利益とも計画を上回る見込みだ。営業利益と純利益は減益見込みから一転して増益見込みとなり、経常利益は減益幅が縮小する見込みとなった。

 第2四半期累計(4月〜9月)は前年同期比1.8%増収、同5.6倍営業増益、同4.9倍経常増益、同84.8%最終減益だった。空間情報コンサルティング事業の稼働率向上や原価低減、グリーンプロパティ事業における太陽光発電関連の開発・運営受託の増加、グリーンエネルギー事業におけるメガソーラー稼働増加などが寄与して営業損益が大幅に改善した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の利益進捗率は低水準だが、空間情報コンサルティング事業およびグリーンプロパティ事業の売上が第4四半期(1月〜3月)偏重の収益構造のため、現時点ではネガティブ要因とはならないだろう。空間情報コンサルティング事業およびグリーンエネルギー事業の営業損益が大幅に改善しているため、通期ベースで好業績が期待される。

 なお再生可能エネルギー関連事業に関して電力各社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)による接続回答保留が解除されないワーストケースを想定して、11月13日に中期経営計画の16年3月期および17年3月期の目標数値を引き下げた。

 17年3月期については売上高を840億円、営業利益を66億円、経常利益を46億円、純利益を34億円とした。営業利益の内訳は空間情報コンサルティング事業16億円(14年3月期11億71百万円)、グリーンプロパティ事業14億円(同8億47百万円)、グリーンエネルギー事業11億円(同2億08百万円の赤字)、ファイナンシャルサービス事業26億円(同31億07百万円)としている。なお16年3月期に初配当を目指している。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度については、経済産業省が12月18日に運用見直し案を発表した。太陽光発電の買い取り価格を15年度に20円台に引き下げる見通しとなり、九州電力と東北電力は15年1月から太陽光の買い取り手続きを再開する。ワーストケースを想定した中期目標数値の見直しとともに、一旦は不透明感が後退する形になりそうだ。

 また11月13日には、13年12月26日に発行した第3回〜第6回新株予約権に関して、その全部を取得して消却(取得日および消却日12月4日)すると発表した。収益が計画を上回る状況で推移して営業キャッシュフローが改善していることに加えて、株価が下限行使価格を下回る水準で推移したため行使が進んでいないことを考慮した。

 株価の動きを見ると、10月14日の直近安値481円から切り返し、第2四半期累計の大幅営業増益や第3回〜第6回新株予約権の取得・消却も好感して11月25日の735円まで上伸した。その後は利益確定売りなどで12月10日の582円まで調整する場面があったが、600円近辺で調整一巡感を強めている。

 12月19日の終値608円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS98円41銭で算出)は6〜7倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS823円96銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると10月安値圏まで下押すことなく、26週移動平均線がサポートラインの形だ。再生可能エネルギー買い取り制度見直しに対する不透明感が後退して切り返し展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:06 | アナリスト水田雅展の銘柄分析