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2015年01月29日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東京個別指導学院は売り一巡、15年2月期大幅増益見通しを評価して出直り

 小中高校生向け個別指導学習塾を展開する東京個別指導学院<4745>(東1)の株価は、1月15日に335円まで調整して14年6月安値336円を割り込む場面があったが、その後は340円〜350円近辺で推移して売り一巡感を強めている。今期(15年2月期)大幅増益見通しを評価して出直り展開だろう。

 ベネッセホールディングス<9783>グループで、小中高校生向けの個別指導学習塾などを展開している。14年2月期末時点の教室数(1対2形式の個別指導教室)は首都圏158教室、関西地区37教室、東海地区8教室、九州地区5教室の合計208教室で、小中高校生合計の期中平均在籍人数は13年2月期比8.6%増の2万3790人だった。

 14年4月に中期経営計画「Shining☆2015」のローリングプランを発表し、目標数値として16年2月期の売上高169億円以上、営業利益23億円以上、教室数219教室、生徒数(4月末)2万4500人以上を掲げている。

 重点戦略は「品質強化による受験対応力強化」「小中学生比率の改善」「新教室の開校」「既存教室生徒数の増加」「マーケティング改革」として、Webマーケティングの積極活用、テレビCMの実施、ベネッセコーポレーションとの連携強化、自社コールセンターの強化、新規教室の開校、顧客の利便性や収益性の改善を目指した教室移転・リニューアル・増床、iPadを活用した映像学習の全教室導入、目的別・学力別・性格別完全オーダーメイド個別指導の強化などで新規入会者・在籍生徒数の増加を推進している。

 14年4月には、通信教育と個別指導を連携した「進研ゼミ個別サポート教室」を全教室で実施するとともに、ベネッセコーポレーションから「Benesseサイエンス教室」と「Benesse文章表現教室」を譲り受けた。また8月にはインターネットによる個別指導「東京個別指導学院ネット教室」を開始した。

 ベネッセコーポレーションの進研ゼミと当社の教室運営・個別指導のノウハウを融合させた新業態「クラスベネッセ」は、進研ゼミ会員の小学1年〜中学3年を対象として、進研ゼミの教材を活用して1人の先生(コーチ)が生徒4人を指導する個別フォロー型学習サービスである。14年12月に「クラスベネッセ仙川」を開校した。現事業モデルでは出店拡大が難しい地域にも展開して市場シェアを拡大することを狙いとしているため、今後の展開については直営とFCで全国規模の展開を目指すとしている。

 なお11月にオリコンが発表した「オリコン顧客満足度ランキング2015高校受験個別指導部門(首都圏)総合部門」で2年連続1位となり、12月にはイードの教育情報サイト「リセマム」が実施した学習塾に関する顧客満足度調査「イード塾アワード2014高校生・大学受験生/個別指導」で3年連続の最優秀賞を受賞した。

 今期(15年2月期)の業績(非連結)見通しは前回予想(4月9日公表)を据え置いて売上高が前期比10.1%増の157億72百万円、営業利益が同25.9%増の16億02百万円、経常利益が同25.6%増の16億05百万円、純利益が同23.4%増の9億10百万円、配当予想が同2円増配の年間8円(第2四半期末4円、期末4円)としている。

 第3四半期累計(3月〜11月)は前年同期比9.7%増収、同53.8%営業増益、同53.5%経常増益、同59.1%最終増益だった。授業料売上が好調に推移し、コストの効率化・適性化も寄与して営業損益が大幅に改善した。新規教室開校、既存教室リニューアル、テレビCMなどのマーケティング戦略の効果で入会者数は同2.5%増の1万6372人となり、14年11月末時点の在籍生徒数は13年11月末に比べて5.1%増の2万7885人となった。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が69.1%、営業利益が32.2%、経常利益が32.4%、純利益が32.9%と低水準だが、春季は卒業などで一時的に在籍生徒数が減少するのに対して、夏期講習なども寄与して第2四半期(6月〜8月)以降の利益構成比が高い収益構造である。

 今期の営業利益を四半期別に見ると、第1四半期(3月〜5月)が8億52百万円の赤字だったのに対して、第2四半期(6月〜8月)は9億33百万円の黒字、第3四半期(9月〜11月)は5億15百万円の黒字だった。通期ベースでも好業績が期待される。なお通期の新規教室開校については7教室の計画だったが、14年12月に千歳船橋教室(東京都世田谷区)を開校して8教室(新業態「クラスベネッセ」を含めると9教室)となった。

 少子化による学齢人口縮小で業界再編・淘汰の動きも活発化しているが、政府が打ち出している教育改革に伴う教育環境変化への不安・関心の高まりも背景として、個別指導学習塾への期待感は一段と高まっている。祖父母から孫への教育資金贈与非課税制度など国の政策も追い風だろう。

 株価の動きを見ると、14年11月の戻り高値437円から反落して水準を切り下げた。1月15日には335円まで調整して14年6月安値336円を割り込む場面があった。第3四半期累計の低進捗率が嫌気され、全般地合い悪化も影響したようだ。ただしその後は340円〜350円近辺で推移して売り一巡感を強めている。

 1月28日の終値346円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS16円77銭で算出)は20〜21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS128円21銭で算出)は2.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が戻りを押さえる形となって水準を切り下げたが、340円〜350円近辺で下げ渋る動きとなり、売り一巡感を強めている。今期大幅増益見通しを評価して出直り展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:25 | アナリスト水田雅展の銘柄分析