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2015年08月31日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】物語コーポレーションは地合い悪化の影響一巡、16年6月期増収増益基調を評価して上値試す

 物語コーポレーション<3097>(東1)は焼肉店やラーメン店などの飲食チェーンを展開している。16年6月期は既存店の好調が牽引して増収増益基調だ。株価は地合い悪化の影響で8月19日の上場来高値5130円から反落して25日の4005円まで調整した。ただし28日には4670円まで戻して売り一巡感を強めている。上値を試す展開だろう。

■中部圏と関東圏を中心に焼肉店やラーメン店などをチェーン展開

 中部圏と関東圏を中心に飲食チェーンを直営とFCで全国展開している。郊外型立地を基本として、業態別には「焼肉きんぐ」などの焼肉部門、「丸源ラーメン」などのラーメン部門、「お好み焼き本舗」のお好み焼部門、寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」などの専門店部門を展開している。「焼肉きんぐ」は焼肉テーブルバイキング市場のトップブランドが特徴である。

 12年10月には中国・上海に「鍋源(GUO YUAN)」をオープンして海外初出店した。また15年4月には国内で当社初の繁華街型店舗となるプロトタイプ焼肉店「熟成焼肉 肉源」1号店を東京・赤坂にオープンした。

 15年6月末時点の店舗数は、全業態合計333店舗(直営168店舗、FC160店舗、海外5店舗)である。業態別には、焼肉部門が152店舗(直営96店舗、FC56店舗)、ラーメン部門が112店舗(直営33店舗、FC79店舗)、お好み焼部門が45店舗(直営21店舗、FC24店舗)、専門店部門が19店舗(直営18店舗、FC1店舗)、その他部門が5店舗(中国直営5店舗)である。

■中期経営計画で17年6月期442店舗目標

 中期経営計画では、物語的大家族主義などピープルビジネスとしての「レインボー企業」を目指し、成長基盤確立に向けて優秀な人財の育成・確保、新業態開発、FC支援体制充実などに取り組んでいる。

 経営目標値には、17年6月期の売上高470億31百万円、経常利益38億01百万円、店舗数442店舗(直営244店舗、FC198店舗)を掲げている。

 重点戦略としては、焼肉部門では「焼肉きんぐ」ブランドの浸透、美味しさとプレミアム感による顧客満足度向上、ラーメン部門ではサイドメニューの強化、「丸源ラーメン」ブランド化に向けた新たなフォーマットの構築、お好み焼部門では熟成リブロースステーキ「塊」による集客力向上、「お好み焼き屋」コンセプトの確立、専門店部門では寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」多店舗フォーマット化の推進、中国で展開する「鍋源」の新フォーマットでの出店などに取り組んでいる。

■既存店好調で16年6月期増収増益基調

 8月10日に発表した前期(15年6月期)の連結業績(7月31日に売上高を増額、利益を減額修正)は売上高が334億32百万円、営業利益が19億59百万円、経常利益が24億07百万円、純利益が12億57百万円だった。15年6月期から連結決算に移行したため単純比較はできないが、前々期非連結業績との比較では24.5%増収、2.6%営業減益、14.7%経常増益、5.7%最終増益だった。経常利益ベースでは営業外収益増加が寄与して実質的に10期連続の増益だった。

 国内の新規出店効果や既存店増収効果、海外子会社の連結化などで売上高は概ね計画水準の増収だったが、国内での新規出店遅れと開業経費の増加、人件費の増加、多店舗展開に向けた先行投資やフォーマット標準化遅れで業績が低迷している中国の子会社の連結開始などが影響して各利益は計画を下回った。

 なお売上総利益率は65.9%で同1.0ポイント低下した。食肉仕入価格上昇などが影響した。販管費比率は60.0%で同0.6ポイント上昇した。純利益については特別損失に中国・物語(上海)企業管理有限公司における減損損失65百万円を計上したことも影響した。

 配当予想は前々期から18円増配の年間53円(第2四半期末25円、期末28)とした。配当性向は25.2%となる。またROEは11.9%、自己資本比率は54.2%だった。

 既存店売上高(国内直営)は103.3%で期初計画の101.1%を上回った。業態別には焼肉部門が102.5%、ラーメン部門が105.7%、お好み焼部門が104.6%、専門店部門が103.7%といずれも好調に推移した。

 新規出店は期初計画49店舗(国内直営29店舗、FC20店舗)に対して実績は40店舗(直営25店舗、FC13店舗、海外2店舗)となった。退店は期初計画2店舗(FC2店舗)に対して実績は5店舗(直営2店舗、FCV店舗)だった。

 業態別売上高は、焼肉部門が同18.8%増の194億86百万円、ラーメン部門が同8.6%増の44億86百万円、お好み焼部門が同24.2%増の24億82百万円、専門店部門が同86.4%増の35億87百万円、FC部門が同10.9%増の26億48百万円、その他が7億40百万円だった。

 なお15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月〜9月)80億10百万円、第2四半期(10月〜12月)78億68百万円、第3四半期(1月〜3月)87億25百万円、第4四半期(4月〜6月)88億29百万円、営業利益は第1四半期5億36百万円、第2四半期2億19百万円、第3四半期5億55百万円、第4四半期6億49百万円だった。

 今期(16年6月期)の連結業績予想(8月10日公表)は売上高が前期比16.0%増の387億86百万円、営業利益が同32.1%増の25億90百万円、経常利益が同22.5%増の29億50百万円、純利益が同14.2%増の14億36百万円としている。配当予想は同2円増配の年間55円(第2四半期末25円、期末30円)で予想配当性向は22.9%となる。

 食肉価格上昇による国内既存店の売上原価率上昇、パート・アルバイト採用難に伴う人件費上昇、既存店リニューアル費用の増加、店舗メンテナンス費用の増加などを、新規出店効果、既存店増収効果、中国の連結子会社の収益改善効果などで吸収して大幅増収増益予想だ。なお特別損失に固定資産除却損3億04百万円の計上を予定している。

 前提は新規出店が42店舗(国内直営23店舗、FC19店舗)、退店が2店舗(国内直営1店舗、FC1店舗)で、既存店売上高は全業態合計101.3%(焼肉が100.3%、ラーメンが102.2%、お好み焼が105.0%、専門店が104.6%)の計画としている。想定の売上総利益率は同横ばいの65.9%、販管費比率は同0.8ポイント低下の59.2%としている。

 業態別売上高の計画は、焼肉部門が同14.5%増の223億21百万円、ラーメン部門が同4.3%増の46億84百万円、お好み焼部門が同3.2%増の25億62百万円、専門店部門が同48.8%増の53億39百万円、FC部門が同11.6%増の29億56百万円、その他が同24.4%増の9億22百万円としている。

 月次売上動向(国内直営店、前年比速報値)を見ると、15年7月は全業態全店が118.5%、既存店が103.4%(焼肉が102.6%、ラーメンが105.6%、お好み焼が102.5%、専門店が110.0%)と好調に推移している。積極的な新規出店、リニューアル・業態転換の効果、既存店の好調などで、16年6月期増収増益基調だろう。

■株価は地合い悪化の影響一巡、16年6月期増収増益基調を評価

 なお株主優待制度については年2回、毎年6月末および12月末時点で1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。100株以上所有株主に対してお食事ご優待券2500円相当またはお米2.5kg、300株以上所有株主に対してお食事ご優待券5000円相当またはお米5.0kg、600株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万円相当またはお米10.0kg、900株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万5000円相当またはお米15.0kgを贈呈する。

 株価の動きを見ると、8月19日の上場来高値5130円まで上伸したが、地合い悪化の影響で8月25日に4005円まで調整する場面があった。ただし28日には4670円まで戻して売り一巡感を強めている。

 8月28日の終値4630円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS239円60銭で算出)は19〜20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間55円で算出)は1.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1751円18銭で算出)は2.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復する動きだ。また週足チャートで見ると長い下ヒゲをつけて13週移動平均線を回復した。サポートラインを確認して強基調を維持した形のようだ。地合い悪化の影響が一巡し、16年6月期の増収増益基調を評価して上値を試す展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:24 | アナリスト水田雅展の銘柄分析