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2016年01月20日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東洋ドライルーブは16年6月期営業増益予想、低PERと低PBRで割安感

 東洋ドライルーブ<4976>(JQS)はドライルーブ製品のコーティング加工事業を展開している。16年6月期営業増益予想で、1桁台の低PERや0.3倍近辺の低PBRという指標面の割安感も評価材料だ。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、下値支持線から反発のタイミングだろう。

■ドライルーブ製品のコーティング加工が主力

 ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)製品のコーティング加工を主力として、その他事業ではナノカーボン製品の製造も展開している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開している。

 ドライルーブとは二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトなどの潤滑物質と各種特殊バインダーをハイブリッド配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の多機能皮膜である。

 ドライルーブでコーティング加工することにより各種素材の摩擦係数を大幅に低減できるなど、耐摩耗性に優れているため自動車機器、デジタル家電、デジタルカメラなどの駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位にコーティング皮膜として使用される。

 中期成長に向けた事業戦略では新製品・新加工技術の開発、アジア地域を中心としたグローバル展開、海外連結子会社の生産性改善を積極推進する方針を掲げている。そして新製品では発熱皮膜、放熱皮膜、撥油皮膜、超撥水皮膜、DLC皮膜、LUBICKシリーズなどの開発を強化している。

■自動車、電気・電子部品、光学機器などの生産動向が収益に影響

 15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月〜9月)12億08百万円、第2四半期(10月〜12月)12億07百万円、第3四半期(1月〜3月)11億99百万円、第4四半期(4月〜6月)12億26百万円、営業利益は第1四半期81百万円、第2四半期70百万円、第3四半期72百万円、第4四半期44百万円だった。

 自動車、電気・電子部品、光学機器などの生産動向の影響を受けやすい収益構造である。なお15年6月期の売上総利益率は23.8%で14年6月期比横ばい、販管費比率は18.2%で同2.0ポイント上昇した。ROEは5.7%で同0.2ポイント上昇、自己資本比率は75.1%で同0.2ポイント低下した。そして配当性向は12.7%だった。

■16年6月期第1四半期は自動車関連が低調だったが電子部品関連が好調

 今期(16年6月期)第1四半期(7月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%減の11億74百万円、営業利益が同16.5%減の68百万円、経常利益が同87.7%減の19百万円、純利益が同96.7%減の2百万円だった。

 製造業における生産調整の影響で減収減益だった。ドライルーブ事業の売上高は同3.1%減の11億68百万円だった。光学機器向けが同4.5%増収、電子部品関連が同14.6%増収だったが、主力の自動車機器向けが同2.6%減収だった。その他事業の売上高は同2.9倍の6百万円だった。

 売上総利益率は24.1%で同0.8ポイント低下、販管費比率は18.3%で同0.1ポイント上昇した。営業外収益では持分法投資利益が10百万円増加したが、為替差損益が悪化(前期は差益66百万円計上、今期は差損68百万円計上)して経常利益と純利益は大幅減益だった。

■16年6月期は営業増益予想

 今期(16年6月期)通期の連結業績予想(8月7日公表)については、売上高が前期比5.6%増の51億10百万円、営業利益が同12.3%増の3億円、経常利益が同21.7%減の4億30百万円、純利益が同8.4%減の3億05百万円としている。

 電気・電子部品業界や光学機器業界の復調で増収、営業増益予想だ。経常利益と純利益は営業外での為替差益を見込まず減益予想としている。なお営業外収益では持分法投資損益の増加を見込んでいる。

 売上高の計画は、ドライルーブ事業が同5.3%増の50億80百万円(自動車関連が同2.0%増の36億47百万円、電子部品関連が同22.2%増の4億90百万円、光学機器関連が同19.6%増の5億24百万円、その他が同2.2%増の4億19百万円)で、その他事業が同2.1倍の30百万円としている。

 配当予想は前期と同額の年間32円(第2四半期末15円、期末17円)としている。予想配当性向は13.9%となる。配当方針については、経営体質を強化するための必要な内部留保と成果配分のバランスを勘案したうえで、安定的な配当を継続していくことを基本方針としている。

 なお通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.0%、営業利益が22.7%、経常利益が4.4%、純利益が0.7%である。経常利益と純利益は為替差損益の影響で低水準だが、売上高と営業利益は概ね順調な水準だろう。

■株価は調整の最終局面、下値支持線から反発のタイミング

 株価の動きを見ると地合い悪化も影響して水準を切り下げた。1月18日には昨年来安値1495円まで調整した。ただし14年5月安値1488円に接近して調整の最終局面だろう。

 1月19日の終値1500円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS230円35銭で算出)は6〜7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4632円08銭で算出)は0.3倍近辺である。時価総額は約20億円である。

 週足チャートで見ると、14年4月安値1505円、5月安値1488円、15年8月安値1504円、9月安値1505円で、1500円近辺が下値支持線の形だ。16年6月期営業増益予想で、1桁台の低PERや0.3倍近辺の低PBRという指標面の割安感も評価材料だ。下値支持線から反発のタイミングだろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:35 | アナリスト水田雅展の銘柄分析