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2016年01月22日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エフティグループの16年3月期は増収増益・増配予想、予想配当利回り4%近辺で割安感

 エフティグループ<2763>(JQS)は法人向け環境関連商品・情報通信機器の販売を主力として、ストック型収益・業容拡大戦略を推進している。15年12月には太陽光発電設備のアローズコーポレーションと資本業務提携した。16年3月期増収増益予想で、増配や自己株式取得など株主還元姿勢も強めている。株価は地合い悪化の影響を受けたが、4%近辺の予想配当利回りといった指標面の割安感も見直して反発のタイミングだろう。なお2月10日に第3四半期累計(4月〜12月)の業績発表を予定している。

■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力

 13年6月にTOBで光通信<9435>の連結子会社となり、15年8月には会社分割によって持株会社へ移行し、社名をエフティコミュニケーションズからエフティグループに変更した。

 事業を承継した新設のエフティコミュニケーションズとエフティコミュニケーションズウエストなど傘下の事業会社で、法人事業(中小企業・個人事業主向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン・OA機器・SOHOスモールサーバー等情報通信機器の販売、およびWEB制作サービスやインターネットサービスの提供)、コンシューマ事業(一般消費者向けインターネットサービスの提供、およびドコモショップ運営)を展開している。

 海外展開は、14年7月設立したタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。15年11月にはフィリピン現地法人(15年9月設立、FTグループ・フィリピン)設立を発表した。タイでの販売モデルを継承して営業活動を行うことで、比較的早い段階から営業成果の結実を企図している。

■M&Aも積極活用してストック型収益と業容を拡大

 LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、そして海外展開やプラットフォーム事業も推進している。

 M&Aも活用した業容拡大戦略では、13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマートフォン・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作の外注先であるアドマウントを子会社化した。

 15年9月には、連結子会社エフティコミュニケーションズウエストおよびグロースブレイブジャパンが、レカム<3323>広島支店の通信機器等販売事業を譲り受けた。既存事業のマーケットシェア拡大に繋がるとしている。

 プラットフォーム事業では、スマホカード決済サービス「ペイコレ」や、子会社ViewPointが14年7月開始した中古車個人取引サイト「mieruCAR(ミエルカ)」を強化している。

 15年3月には中古車個人取引サイト「mieruCAR」が日本最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」と連携開始した。子会社ViewPointの「mieruCAR」掲載車両を「ヤフオク!」内に設置された「ミエルカストア」に連携出品して個人間売買の活性化を図る。

 15年10月には子会社ViewPointが「ヤフオク!」を通じて、自動車やオートバイを購入する利用者に向けて安心取引サービス「ミエサポ」の提供を開始した。落札後の取引に「ミエサポ」を利用することにより代金授受、名義変更、納車までを一括サポートすることが可能になる。

 15年11月には子会社ジスターイノベーションが、Amazon Gift Cards Japanとの販売代理店契約を締結して「AmazonギフトコードSMS送付システム」の運用を開始すると発表した。参加企業を増やすことで毎月の利用料が積み上がるストック収益が見込める。

 15年12月には、太陽光発電設備・蓄電池・オール電化などの販売・施工・保守を展開し、西日本地区で個人向け太陽光発電設備販売の最大手であるアローズコーポレーション(大阪府吹田市)と資本業務提携(同社の株式14.8%を取得)した。同社が得意としている太陽光発電設備・蓄電池を新たな商材に追加して当社グループの環境系商材のラインアップを充実させる。また地球温暖化対策への取り組みの一環として、茨城県つくば市に保有している集合研修施設である「つくばビジネスサポートセンター」に太陽光発電設備を導入した。

■ストック型収益の積み上げで営業利益拡大基調

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)82億33百万円、第2四半期(7月〜9月)88億68百万円、第3四半期(10月〜12月)87億73百万円、第4四半期(1月〜3月)89億30百万円、営業利益は第1四半期9億28百万円、第2四半期10億13百万円、第3四半期10億77百万円、第4四半期10億91百万円だった。

 ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。15年3月期の差引売上総利益率は51.4%で14年3月期比6.2ポイント上昇、販管費比率は39.6%で同4.9ポイント上昇、ROEは29.4%で同7.5ポイント低下、自己資本比率は29.4%で同4.2ポイント上昇した。配当性向は29.6%だった。

 なお16年3月期から、営業外収益に計上していた受取ロイヤリティーを取引形態ごとに、売上高に関連して獲得するものは売上高に含めて計上し、仕入高に関連して獲得するものは売上原価から控除する方法に変更した。親会社との会計処理の統一を図るとともに、今後も受取ロイヤリティーの規模の拡大が予想される中、取引形態の見直しを行い、経営成績をより適切に表示する。

■16年3月期第2四半期累計は法人事業が好調で増収増益

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.3%増の171億94百万円で、営業利益が同4.3%増の21億60百万円、経常利益が同1.5%増の21億49百万円、純利益が同2.3%増の13億44百万円だった。

コンシューマ事業はやや低調だったが、法人事業の好調が牽引した。差引売上総利益率は50.6%で同1.8ポイント低下、販管費比率は38.0%で同2.3ポイント低下した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、法人事業は売上高が同2.9%増の149億50百万円、営業利益が同24.4%増の25億60百万円だった。新規連結のタイ子会社において日系企業の大規模工場向けなどにLED照明など環境系商品の販売が好調に推移した。またマイナンバー制度への対応やセキュリティニーズの高まりを受けて、ファイルサーバー・UTM(総合脅威管理システム)の販売が好調だった。

 コンシューマ事業は売上高が同17.2%減の24億58百万円、営業利益が2億31百万円の赤字(前年同期は1億59百万円の黒字)だった。前期までのフロー型収益である光ファイバ回線の取次販売から、ストック型収益である当社グループサービス「ひかり速トク」と「アイエフネットインターネットサービス」とのセットプランに切り替えたため減収減益だったが、中期的には利益貢献するとしている。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)80億85百万円、第2四半期(7月〜9月)91億09百万円、営業利益は第1四半期8億59百万円、第2四半期13億01百万円だった。

■16年3月期通期も増収増益予想

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月14日公表)については、売上高が前期比8.7%増の380億円、営業利益が同11.4%増の50億円、経常利益が同10.2%増の50億円、純利益が同8.3%増の30億円としている。事業別の売上高は法人事業が同8.7%増の320億円、コンシューマ事業が同0.6%増の60億円の計画としている。

 法人事業ではLED照明、自然冷媒ガス、SOHO向けスモールサーバー、ビジネスホンなどの拡販に取り組むほか、工場向けのライン監視カメラ・センサーといった監視装置関連の需要増加にも対応する。

 コンシューマ事業では、NTT東日本・NTT西日本による光回線卸売サービスである光コラボレーションモデル開始(15年2月)に伴って、FVNO(仮想固定通信事業者)として、自社ブランドの法人向け光回線サービス「FT光」およびコンシューマ向け光回線サービス「ひかり速トク」を、当社インターネット接続サービス「アイエフネットインターネットサービス」とのセットプランで拡販を推進する。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が45.3%、営業利益が43.2%、経常利益が43.0%、純利益が44.8%である。やや低水準の形だが、ストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で増収増益基調に変化はないだろう。

■16年3月期増配予想、15年10月1日付で株式3分割

 配当予想については7月17日に株式3分割(15年10月1日付)に伴う修正を発表した。修正後の配当予想は株式3分割前の第2四半期末が30円、株式3分割後の期末が14円で、第2四半期末30円を株式3分割後10円に換算すると年間24円となる。予想配当性向は28.2%である。

 株式3分割前に換算すると年間72円(第2四半期末30円、期末42円)となり、前回予想(5月14日公表)の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対して2円増額、また前期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対しても2円増配となる。

 株主への利益還元については、企業価値の最大化を図り、当社の健全な財務基盤確立に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としている。

■株価は地合い悪化の影響受けたが反発のタイミング

 株価の動き(15年10月1日付で株式3分割)を見ると、12月3日の昨年来高値841円から利益確定売りで反落し、さらに地合い悪化の影響を受けて水準を切り下げた。1月21日には602円まで調整した。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 1月21日の終値603円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円78銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(株式3分割換算後の会社予想の年間24円で算出)は4.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績に株式3分割を考慮した連結BPS296円83銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約217億円である。

 週足チャートで見るとモミ合い下放れの形となったが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10を超えて売られ過ぎ感を強めている。1桁台の低PERや4%近辺の高配当利回りといった指標面の割安感も見直して反発のタイミングだろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:38 | アナリスト水田雅展の銘柄分析