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2016年04月13日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ティー・ワイ・オーは下値切り上げて戻り歩調、16年7月期減益予想だが受注は拡大基調

 ティー・ワイ・オー<4358>(東1)はTV−CM制作の大手で、中期成長に向けた戦略的M&Aを積極化している。16年7月期は低利益案件発生などで減益予想となったが、受注は拡大基調である。株価は3月の戻り高値圏から一旦反落したが下値を切り上げている。戻り歩調に変化はないだろう。7月期末一括で3%近辺の予想配当利回りも注目点だ。

■TV−CM制作の大手

 TV−CM制作の大手である。広告事業(広告代理店向けTV−CM企画・制作およびポスト・プロダクション業務、広告主向けWEB広告およびプロモーションメディア広告の企画・制作、クロスメディア広告業務)を主力として、映像関連事業(アニメーションおよびミュージックビデオなどの企画・制作)も展開している。

 15年3月には民事再生手続き中のスカイマークに対して、ブランド再生に関する業務支援を行うことが正式決定した。投融資は行わず、スカイマークのブランド再生に必要であると判断される領域のクリエイター、関連スタッフ、ノウハウなどを無償で提供する。スカイマークの再生後は広告受注に繋がると期待される。

 15年9月には、シンガポールで開催された広告祭Spikes Asia 2015(アジア太平洋地域の国々を対象としたクリエイティブフェスティバル)において、当社が制作に携わった広告がゴールド1作品、シルバー4作品、ブロンズ3作品を受賞したと発表している。

 15年11月には、世界で優れた広告作品を表彰する国際的な広告賞である「ロンドン・インターナショナル・アワーズ2015」において、当社が制作に携わった4作品が受賞したと発表している。

■戦略的M&Aを積極化

 中期成長戦略としては、ブランディングやセールスプロモーションなどの分野を中心に、一定規模以上の企業を対象として戦略的M&Aを積極推進する方針を打ち出している。

 15年3月に海外事業統括管理会社としてシンガポールにTYO−ASIAを設立し、15年7月にインドネシアの広告会社The First Editionの代表Uli氏と合弁会社TYO FIRST EDITION(TYO−FE)を設立した。

 アジアにおける戦略的M&Aの第一弾として、The First Editionの事業を合弁会社に順次継承していく予定である。インドネシアにおける日系企業との取引拡大も目指すとしている。

 15年8月にはケー・アンド・エル社(K&L社、東京都)が実施する第三者割当増資を引き受けて連結子会社化した。K&L社はグラフィック領域を中心に大手広告主案件を長期に手掛けるクリエイティブ・エージェンシーで、中国やインドなどアジア地域へも事業進出している。そしてK&L社の有する海外を含む豊富な実績とノウハウが、当社の広告主直接取引拡大や海外事業の本格展開に寄与するとしている。

 15年9月にはグループ会社として、三浦武彦氏を代表とする100%子会社ミウラ・アンド・カンパニーを設立した。クリエイティブ機能強化を目的として、広告コミュニケーションのアイデア開発やディレクションを行うクリエイティブブティックの位置付けとしている。

 15年9月には、サニーサイドアップのスピンオフベンチャー企業ENGAWA社(えんがわ社、東京都、15年11月設立予定)が実施する第三者割当増資を引き受けると発表した。

 ENGAWA社はジャパン・ブランド確立を目指す事業、そのテーマから派生する複数の事業を統括する会社として設立され、高いジャパンクオリティを備えた商品・サービスの発掘・広報・販路開拓などを支援するプロジェクト「OMOTENASHI SELECTION」の継続実施が決定している。新会社に対して当社グループの広告戦略・企画・制作をはじめとする事業ノウハウを提供することも検討する。

 15年12月には連結子会社のK&L社が、同社連結子会社(当社孫会社)の凱立広告(上海)を通じて、シンガポールに新会社(当社における曾孫会社K&L CREATIVE ASIA)を設立すると発表した。日系企業および外資系企業のアジア戦略等の広告活動サポートを拡充する。

■受注拡大基調

 15年7月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(8月〜10月)52億99百万円、第2四半期(11月〜1月)72億97百万円、第3四半期(2月〜4月)69億11百万円、第4四半期(5月〜7月)88億86百万円で、営業利益は第1四半期3億38百万円、第2四半期3億83百万円、第3四半期6億65百万円、第4四半期4億98百万円だった。

 電気・情報通信、車両・交通器具・工業機械、飲料、娯楽・エンターテインメントなどの分野を中心として受注が拡大基調である。また広告主直接取引の受注が大幅増加して案件規模も拡大しているようだ。

 15年7月期の売上総利益率は17.5%で14年7月期比0.2ポイント低下したが、販管費比率は10.9%で同0.3ポイント低下した。ROEは21.6%で同8.3ポイント上昇、自己資本比率は38.2%で同0.8ポイント上昇した。配当性向は27.8%だった。

■16年7月期第2四半期累計は低利益案件発生が影響して減益

 今期(16年7月期)第2四半期累計(8月〜1月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.5%増の137億91百万円だが、営業利益が同43.4%減の4億08百万円、経常利益が同48.3%減の3億66百万円、純利益が同69.9%減の1億32百万円だった。

 受注が順調に推移して増収だったが、第1四半期(8月〜10月)に発生した低利益率案件の影響、M&A関連費用や新子会社の費用の計上、連結子会社の業績不振などで大幅減益だった。売上総利益率は15.7%で同1.6ポイント低下、販管費比率は12.8%で同1.2ポイント上昇した。販管費にはM&Aによるのれん償却額41百万円が含まれている。第2四半期末時点の人員は845人で前年同期比124人増加した。インドネシアTYO−FEおよびK&L社の連結も影響した。

 営業外収益では受取利息が増加(前期0百万円計上、今期16百万円計上)し、保険返戻金が減少(前期31百万円計上、今期4百万円計上)した。営業外費用では為替差損が増加(前期は百万円計上、今期16百万円計上)し、売上債権売却損が増加(前期14百万円計上、今期20百万円計上)した。特別損失では固定資産除却損が減少(前期39百万円計上、今期4百万円計上)した。

 セグメント別動向を見ると、広告事業は売上高が同10.7%増の131億67百万円、営業利益(連結調整前)が同10.2%減の13億83百万円だった。広告代理店経由取引の受注は電気・情報通信、車両・交通器具・工業機械、飲料、衣料・繊維・服飾、娯楽・エンターテインメントを中心に好調だったが、広告主直接取引については案件の検収時期が下期に集中し、新規連結子会社の出遅れも影響して売上高は計画を下回った。低利益率案件の発生も影響して減益だった。

 なお取引形態別に見ると、広告代理店取引は売上高が同6.9%増の97億95百万円で、営業利益が同4.3%減の14億72百万円、広告主直接取引は売上高が同23.4%増の33億72百万円で、営業利益が同24.7%減50百万円だった。利益面で見ると、広告代理店取引は第1四半期の低利益率案件の発生、広告主直接取引はインドネシアにおける新会社の不振が影響した。主要顧客別売上高を見ると、電通向けは同23.6%増の39億32百万円、博報堂向けは同11.6%増の29億82百万円だった。

 映像関連事業は売上高が同10.6%減の6億23百万円、営業利益が1百万円の赤字(前年同期は52百万円の黒字)だった。アニメーション制作における一部案件の受注規模縮小、一部案件の作業の長期化、前期の大型ライブ映像案件の一巡などで減収、営業赤字だった。なおアニメーション制作では高利益率案件が下期に集中しているようだ。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(8月〜10月)54億54百万円、第2四半期(11月〜1月)83億37百万円、営業利益は第1四半期92百万円の赤字、第2四半期5億円だった。営業損益は低利益率案件の発生が影響した第1四半期がボトムようだ。

■16年7月期通期は減益予想

 今期(16年7月期)通期の連結業績予想(2月26日に減額修正)は、売上高が前期(15年7月期)比5.7%増の300億円、営業利益が同20.4%減の15億円、経常利益が同25.3%減の13億50百万円、純利益が同35.7%減の7億20百万円としている。配当予想(9月11日公表)は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。予想配当性向は43.3%となる。

 低利益案件の発生や新規連結子会社の不振などで増益予想から一転にて減益予想となったが、受注は拡大基調のため増収予想を維持している。また採用活動を積極的に展開し、M&Aによる連結子会社の増加も含めて、グループ人員数は15年7月期末の802人から、16年7月期末には900人規模へ増加する見込みだ。そして定着率向上に向けて福利厚生制度の拡充も推進する。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.0%、営業利益が27.2%、経常利益が27.1%、純利益が18.3%と低水準だが、下期に高利益率案件の売上計上が予定されているもようであり、挽回が期待される。

■中期経営計画で17年7月期営業利益27億円目標

 中期経営計画では目標数値として17年7月期売上高400億円、営業利益27億円を掲げ、株主還元として配当性向25%以上目標と株主優待の継続実施の方針を示している。

 広告市場は拡大基調であり、国内TV−CM制作業界では当社を含む大手制作3社による寡占化傾向を強めている。国内景気回復や20年東京夏季五輪開催も追い風となるため、事業環境は中期的に良好だろう。戦略的M&Aや海外展開本格化も寄与して中期的に収益拡大が期待される。

■株主優待制度は毎年1月末に実施

 なお15年10月に株主優待制度の一部変更(クオカード贈呈の保有株式数による条件および贈呈金額変更)を発表した。変更後の株主優待制度は、毎年1月31日現在の10単元(1000株)以上保有株主を対象として、クオカード(1000株以上保有株主に対して1000円相当、3000株以上保有株主に対して5000円相当、5000株以上保有株主に対して1万円相当)を贈呈する。

 さらにTYOオリジナル株主優待(対象条件に変更なし)として、毎年1月31日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象として、応募者の中から抽選で実施する。16年1月31日時点の株主から実施する。

■株価は下値を切り上げて戻り歩調に変化なし

 株価の動きを見ると、3月31日の戻り高値179円から一旦反落したが、大きく下押すことなく、160円台で推移して下値を切り上げている。戻り歩調に変化はないだろう。

 4月12日の終値164円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円54銭で算出)は14〜15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は3.1%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS89円31銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約102億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となり、週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。戻りを試す展開だろう。7月期末一括で3%近辺の予想配当利回りも注目点だ。

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