フォーカスシステムズ<4662>(東1・100株)は2016年3月に東証2部から東証1部へ昇格上場した。独立系のソフトハウスとして公共、通信、情報セキュリティなどの社会性の高い分野のシステム構築、ソフトウエア開発を手がけ順調に成長している。この度、医療事業への人工知能の活用に向けた新たな取組みを開始した。
東証1部上場、そして、今回の医療分野への展開から見えてくることは新たな発展方向を目指している姿と思われる。同社の森啓一社長(写真)は、今後の目指す方向を次のように語る。
まず、今回の人工知能活用の医療分野について概要を聞かせてください。「今回の医療事業への人工知能活用については、『洛和会ヘルスシテム』(本社京都市、5つの病院と4つのクリニックのほかに介護、保育園などを運営)、『UBIC』(2158・JQ)、『フォーカスシステムズ』の3社で医療事業への人工知能の活用に向けた共同研究を開始するということで合意し公表しました。今回の共同研究では医療機関・組織の経営層の意思決定支援や、医療機関の経営や診療・診断支援、職員管理などに人工知能を用いた各種の実証研究を行い、その実用性や効果の検証を行います。洛和会ヘルスケアシステムは保有する各種データや病院経営現場の運営に関わる知見や課題、要望などを提供し、UBICは独自開発した人工知能KIBIT(キビット)によるデータの解析と人工知能活用のノウハウの提供を行い、当社はデータを解析するためのシステムづくりやサービスノウハウの提供・検証作業の支援などを行います」という内容。
医療分野には関心をお持ちでしたか。「医療大国といわれる日本の医療費は多すぎるのではないかと私自身、疑問と関心は持っていました。また、当社では以前から当社の得意とする暗号化技術を遠隔医療に役立てるという研究は続けてきました。今回の件は、洛和会ヘルスケアシステムからの話でしたが、UBICとは株式を持ち合いしている間柄ですから今後、積極的に取り組んでいきたいと思っています」という。
1部上場企業となりましたが、1部上場をどのように位置づけられますか。「当社は独立系IT企業として40年やってきましたが、発想力、開発力では優れていると自負しています。1部上場で今後、どのような方向を目指のか、社の内外に明確にすることが重要だと思っています。とくに、1部上場で社員のモチベーションが高まっているので1部上場は飛躍のチャンスだと思っています。これまで、新しいことを考えなかったというわけではありませんが、どちらかと言えば大きなリスクを取らないでやってきました。今回の医療事業分野は当社にとってこれまでと違った新しい取組みです。『独立系ITとして確たる地位を築く』ことを骨子とした中期経営計画を策定し来年年明けに発表したいと思ってています」ということだ。
2017年3月期は人材確保など先行投資負担で減益見通しだが予想1株利益35.3円、配当は年12.5円の見通し。特に、利回りは2.7%と魅力的。1部上場を機に新たな展開に期待すれば450〜460円の株価は中期的に有望といえる。年初来高値は650円(3月25日)、同安値340円(2月12日)。
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