■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力
13年6月TOBで光通信<9435>の連結子会社となり、15年8月持株会社に移行して。社名をエフティコミュニケーションズからエフティグループに変更した。
傘下の事業会社で、法人事業(中小企業・個人事業主向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン・OA機器・SOHOスモールサーバー等情報通信機器の販売、WEB制作サービスやインターネットサービスの提供)、コンシューマ事業(一般消費者向けインターネットサービスの提供、ドコモショップ運営)を展開している。16年3月期の事業別売上高構成比(連結調整前)は法人事業84%、コンシューマ事業16%である。
■M&A・アライアンスを積極活用してストック型収益と業容を拡大
LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、海外展開、プラットフォーム事業の強化を推進している。
13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマホ・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作外注先のアドマウントを子会社化、15年9月子会社エフティコミュニケーションズウエストおよびグロースブレイブジャパンがレカム<3323>広島支店の通信機器等販売事業を譲り受けた。
15年12月西日本地区における個人向け太陽光発電設備販売の最大手アローズコーポレーションと資本業務提携、16年4月東日本地区における個人向け太陽光発電設備販売の最大手エージー・ジャパンと資本業務提携し、東日本および西日本地区の個人向け太陽光発電設備販売の最大手企業との提携が実現した。
16年5月新電力サービス「ハルエネでんき」を運営するハルエネと販売取次に関する契約を締結した。法人向けに新電力サービスの取次販売を開始し、インターネットサービス「FT光」「ひかり速トク」と新電力サービス「ハルエネでんき」をラインナップに加えることで新たな顧客基盤構築に繋げる。
■グループ再編も推進
16年3月子会社FRONTIERが、グループの個人向け太陽光発電設備や蓄電池等を専門に扱う環境事業関連会社として、太陽光発電設備および蓄電池の販売を開始した。16年4月子会社アイエフネットのWEBサイト制作等の制作サービス部門を子会社TRUSTに移管、環境関連商品販売事業を新たに設立した子会社大和環境設備に移管した。アイエフネットは光コラボレーション「ひかり速トク」およびインターネットサービスプロバイダーの通信事業者と位置付けた。
7月5日法人事業の組織変更を発表した。8月1日付で事業会社をエフティコミュニケーションズ、エフティエコソリューション(大和環境設備が商号変更)、TRUST、エフティ北日本(エフティコミュニケーションズの北日本地区を分社)、エフティ東北(エフティコミュニケーションズの東北地区を分社)、エフティコミュニケーションズウエスト、エフティ東海(エフティコミュニケーションズウエストの東海地区を分社)、エフティ中四国(グロースブレイブジャパンが商号変更)、エフティ九州(エフティコミュニケーションズウエストの九州地区を分社)とする。
海外は14年7月設立のタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。15年9月にはフィリピン現地法人FTグループ・フィリピンを設立した。
■ストック型収益の積み上げで営業利益拡大基調
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期82億33百万円、第2四半期88億68百万円、第3四半期87億73百万円、第4四半期89億30百万円、営業利益が9億28百万円、10億13百万円、10億77百万円、10億91百万円、16年3月期は売上高が80億85百万円、91億09百万円、99億73百万円、100億47百万円、営業利益が8億59百万円、13億01百万円、13億78百万円、13億35百万円だった。
ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。なお16年3月期から、営業外収益に計上していた受取ロイヤリティーを取引形態ごとに、売上高に関連して獲得するものは売上高に含めて計上し、仕入高に関連して獲得するものは売上原価から控除する方法に変更した。親会社との会計処理の統一を図るとともに、今後も受取ロイヤリティーの規模の拡大が予想されるため経営成績をより適切に表示する。
16年3月期は法人事業の好調が牽引して過去最高益を更新した。差引売上総利益は15年3月期比0.9%減少し、差引売上総利益率は48.6%で同3.7ポイント低下した。販管費は同4.1%減少し、販管費比率は35.5%で同3.9ポイント低下した。営業外では持分法投資損益が悪化し、営業外費用では為替差損を計上した。ROEは26.2%で同3.2ポイント低下、自己資本比率は56.6%で同3.1ポイント上昇した。
配当は第2四半期末30円と期末14円だった。15年10月1日付株式3分割の遡及修正後で年間72円(第2四半期末30円、期末14円×3=42円)となり、15年3月期の年間70円に対して実質的に2円増配だった。配当性向は28.5%だった。利益還元については、企業価値の最大化を図り、当社の健全な財務基盤確立に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としている。
セグメント別(連結調整前)動向を見ると、法人事業は売上高が同7.1%増の316億74百万円、営業利益が同21.7%増の56億40百万円だった。商品別にはコピー機が1.5%増収、LED照明が30.8%増収、冷媒ガス等環境関連商品が19.0%増収、ビジネスホンが4.8%増収、サーバー・セキュリティUTMが49.6%増収、光コラボ(Bフレ)ISPが4.6%減収、WEBサイト制作が2.1%増収、法人携帯が37.0%減収、その他が39.1%減収だった。
コンシューマ事業は売上高が同0.1%減の59億57百万円、営業利益が3億51百万円の赤字(前々期は3億52百万円の黒字)だった。前期までのフロー型収益である光回線の取次販売から、ストック型収益である当社グループサービス「ひかり速トク」に切り替えたため、一時的に減収減益だが、中期的には利益貢献するとしている。光コラボ獲得数はコンシューマ向け「ひかり速トク」4万7400回線、法人向け「FT光」4300回線、合計5万1700回線だった。
■17年3月期も増収増益・増配予想
今期(17年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比7.5%増の400億円、営業利益が同6.7%増の52億円、経常利益が同7.5%増の52億円、純利益が同5.4%増の31億円としている。配当予想は年間28円(第2四半期末14円、期末14円)としている。15年10月1日付株式3分割の遡及修正後に換算すると年間84円で、前期(株式遡及修正後)の年間72円に対して実質的に12円増配となる。予想配当性向は31.0%となる。
法人事業ではビジネスホンの買い替え需要取り込み、LED照明やセキュリティ商材の拡販、コンシューマ事業では光コラボ「ひかり速トク」の拡販を推進する。資本業務提携した個人向け太陽光発電設備販売や、新電力サービス取次販売にも注力する。ストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で増収増益基調に変化はないだろう。
■自己株式取得は終了
5月12日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限80万株、取得価額総額の上限6億円、取得期間16年5月13日〜16年9月30日)については、7月6日時点の累計で取得株式総数75万3700株、取得価額総額5億9992万7600円となって終了した。
■株価は年初来高値圏で堅調、ボックスレンジ上放れ期待
株価の動き(15年10月1日付で株式3分割)を見ると、地合い悪化の影響を受けて6月24日に713円まで急落する場面があったが、素早く切り返し、その後は年初来高値圏800円近辺で堅調に推移している。
7月13日の終値774円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS90円18銭で算出)は8〜9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は3.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS349円52銭で算出)は2.2倍近辺である。時価総額は約279億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。指標面の割安感が強く、14年後半から続いたボックスレンジから上放れが期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)
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