■再生可能エネルギー事業に収益柱をシフト
14年4月ターボリナックスHDから現ジオネクストに商号変更した持株会社である。従来のIT関連事業(ターボリナックスのITソリューション)、環境事業(東環のビルメンテナンスサービス)、新規事業の再生可能エネルギー事業(エリアエナジーの太陽光発電所開発・運営・O&Mサービス、日本地熱発電の地熱・温泉バイナリー発電開発)、ヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)を展開し、収益改善に向けた基本戦略として14年開始した再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトした。
そして16年5月調剤薬局事業を行う仙真堂の株式をGrand Gate Holdingsに譲渡した。調剤薬局事業は収益の伸びが当初計画に満たず営業損失を計上しているため、仙真堂の株式を譲渡して当社の負担を軽減する。株式譲渡に併せて、当社が仙真堂に対して保有する金銭債権も譲渡する。これによって仙真堂は連結子会社から除外されるが、当社が仙真堂に対して店舗賃貸借契約および調剤薬局運営支援に関するアドバイザリー契約を締結する。
■継続企業の前提に疑義注記
なお営業損失の発生および営業キャッシュ・フローのマイナスが10期継続して発生している。このため継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。そして16年12月期に営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスとなった場合には、JASDAQ市場の上場廃止基準に抵触して当社株式は上場廃止となる。
■16年12月期営業黒字化に目途、上場廃止回避の可能性
今期(16年12月期)第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比4.5倍の2億18百万円、営業利益が38百万円の黒字(前年同期は73百万円の赤字)、経常利益が38百万円の黒字(同89百万円の赤字)、そして純利益が33百万円の黒字(同91百万円の赤字)だった。再生エネルギー事業で前期末に売電開始した三笠市弥生町太陽光発電所の売電収入、開発案件の譲渡、太陽光パネル関連の収益獲得が寄与した。
通期の連結業績予想(2月12日公表)は、売上高が前期(15年12月期)比22.5%増の9億76百万円、営業利益が44百万円の黒字(前期は1億47百万円の赤字)、経常利益が9百万円の赤字(同2億09百万円の赤字)、純利益が13百万円の赤字(同8億11百万円の赤字)としている。
16年5月には、連結子会社エリアエナジーが埼玉県入間郡越生町の太陽光発電所に係る権利等をエコライフエンジニアリングに譲渡、千葉県千葉市緑区、山梨県韮崎市藤井町、静岡県牧之原市の太陽光発電所に係る権利等をアポロに譲渡した。売上および利益は第2四半期に計上する。
特別利益には、連結子会社ターボリナックスが保有する北京拓林思への出資持分を北京万里に譲渡した関係会社株式売却益約16百万円、遺伝子治療研究所への出資持分を譲渡した関係会社株式売却益約19百万円を計上する。また仙真堂の株式譲渡および金銭債権譲渡に伴って子会社株式売却益1億78百万円、および債権譲渡損失2億24百万円を計上する見込みだ。
16年12月期第1四半期の営業利益が38百万円の黒字となり、通期会社予想の営業利益44百万円に対する進捗率は86.4%に達している。さらに営業損失を計上していた仙真堂が連結から除外されることも寄与して、通期の営業黒字化に目途が立ったようだ。営業利益は期初計画を上回る可能性もあるだろう。
■17年12月期以降の収益拡大に向けた新たな成長戦略が注目点
16年12月期営業黒字化に目途が立ったことで、今後は17年12月期以降の収益拡大に向けた新規事業など、新たな成長戦略が注目点となる。3月の株主総会における新たな代表者や取締役の就任、さらに親会社との連携強化などで、新たな成長戦略としてフィンテック関連やホテル・民泊関連などが想定されそうだ。
■株価は安値圏だが新たな成長戦略に期待
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して6月24日に年初来安値51円まで調整したが、その後は下げ渋る動きだ。7月15日の終値は59円で、時価総額は約24億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だ。ただし売り一巡感も強めている。新たな成長戦略に対する期待感で反発の動きを強めそうだ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)
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