■中部圏と関東圏を中心に焼肉店やラーメン店などをチェーン展開
中部圏と関東圏中心に飲食チェーンを直営とFCで全国展開している。郊外型立地を基本として、業態別には「焼肉きんぐ」などの焼肉部門、「丸源ラーメン」などのラーメン部門、「お好み焼き本舗」のお好み焼部門、寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」などの専門店部門を展開している。「焼肉きんぐ」は焼肉テーブルバイキング市場のトップブランドが特徴である。15年4月には当社初の繁華街型店舗となる焼肉店「熟成焼肉 肉源」1号店を東京・赤坂にオープンした。
16年3月末時点の店舗数は全業態合計359店舗(国内直営184店舗、FC170店舗、海外5店舗)となった。業態別には焼肉部門170店舗(直営103店舗、FC67店舗)、ラーメン部門112店舗(直営34店舗、FC78店舗)、お好み焼部門43店舗(直営21店舗、FC22店舗)、専門店部門29店舗(直営26店舗、FC3店舗)、その他(海外)部門5店舗(中国直営5店舗)である。なお16年4月に「焼肉きんぐ」秋田広面店(秋田県秋田市)をオープンして47都道府県全てへの出店を達成した。
■中期経営計画で17年6月期442店舗目標
中期経営計画では、物語的大家族主義などピープルビジネスとしての「レインボー企業」を目指し、成長基盤確立に向けて優秀な人財の育成・確保、新業態開発、FC支援体制充実などに取り組んでいる。経営目標値には17年6月期売上高470億31百万円、経常利益38億01百万円、店舗数442店舗(直営244店舗、FC198店舗)を掲げている。
重点戦略としては、焼肉部門では「焼肉きんぐ」ブランドの浸透、美味しさとプレミアム感による顧客満足度向上、ラーメン部門ではサイドメニューの強化、「丸源ラーメン」ブランド化に向けた新たなフォーマットの構築、お好み焼部門では熟成リブロースステーキ「塊」による集客力向上、「お好み焼き屋」コンセプトの確立、専門店部門では寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」多店舗フォーマット化の推進、中国で展開する「鍋源」の新フォーマットでの出店などに取り組んでいる。
■既存店売上は各業態とも好調推移
15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高が第1四半期80億10百万円、第2四半期78億68百万円、第3四半期87億25百万円、第4四半期88億29百万円、営業利益が5億36百万円、2億19百万円、5億55百万円、6億49百万円だった。
15年6月期の既存店売上高(国内直営)は103.3%(焼肉102.5%、ラーメン105.7%、お好み焼104.6%、専門店103.7%)だった。売上総利益率は66.0%、販管費比率は60.1%、ROEは11.9%、自己資本比率は54.2%、配当性向は25.2%だった。
■16年6月期第3四半期累計は大幅増収増益
前期(16年6月期)第3四半期累計の連結業績は前年同期比17.6%増収、同42.3%営業増益、同25.4%経常増益、同34.6%最終増益だった。積極的なリニューアル、新メニュー開発、期間限定商品投入などの施策が奏功して既存店売上が全業態とも好調に推移した。積極的な新規出店、不採算店閉店、全社的経費削減、連結子会社である中国の物語(上海)企業管理有限公司の収益改善も寄与した。新規出店は35店舗(国内直営18店舗、FC14店舗、海外3店舗)、退店は9店舗(国内直営2店舗、FC4店舗、海外3店舗)だった。
既存店売上高(国内直営店)は全業態合計が102.2%%で、業態別には焼肉101.5%、ラーメン104.3%、お好み焼102.8%、専門店103.5%といずれも好調に推移した。部門別の売上高は焼肉が同15.8%増の166億06百万円、ラーメンが同4.7%増の35億41百万円、お好み焼きが同7.3%増の19億70百万円、専門店が同45.2%増の37億26百万円、その他(連結子会社が運営する飲食店舗含む)が同56.0%増の8億68百万円、FC部門(ロイヤルティ収入など)が同16.1%増の22億37百万円だった。
売上総利益は同16.2%増加したが、売上総利益率は65.2%で同0.8ポイント低下した。販管費は同13.9%増加したが、販管費比率は58.8%となって同1.9ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(前期は差益77百万円計上、今期は差損98百万円計上)した。特別損失では減損損失62百万円、店舗閉鎖損失79百万円、役員退職慰労金54百万円を計上したが、システム開発中止に伴う損失1億01百万円が一巡した。
四半期別推移を見ると、売上高が第1四半期95億01百万円、第2四半期92億39百万円、第3四半期102億10百万円で、営業利益が6億92百万円、4億42百万円、7億31百万円だった。
■16年6月期大幅増益・増配予想、17年6月期も収益拡大期待
前期(16年6月期)通期の連結業績予想(8月10日公表)は売上高が前々期(15年6月期)比16.0%増の387億86百万円、営業利益が同32.1%増の25億90百万円、経常利益が同22.5%増の29億50百万円、そして純利益が同14.2%増の14億36百万円としている。配当予想は同2円増配の年間55円(第2四半期末25円、期末30円)で予想配当性向は23.0%となる。11期連続増収増益で、上場以来8期連続増配の計画である。
既存店リニューアル費用や店舗メンテナンス費用の増加、食肉価格上昇による国内既存店の売上原価率上昇、パート・アルバイト採用難に伴う人件費上昇などを、既存店売上の好調、新規出店、中国の連結子会社の収益改善効果などで吸収する。なお特別損失に固定資産除却損3億04百万円の計上を予定している。
新規出店は42店舗(国内直営23店舗、FC19店舗)の期初計画に対して、45店舗程度となるようだ。閉店は通期で5店舗としている。既存店売上高(国内直営店)は全業態合計101.3%(焼肉100.3%、ラーメン102.2%、お好み焼105.0%、専門店104.6%)の想定としている。売上総利益率は同横ばいの65.9%、販管費比率は同0.8ポイント低下の59.2%を想定している。
部門別売上高の計画は、焼肉が同14.5%増の223億21百万円、ラーメンが同4.3%増の46億84百万円、お好み焼が同3.2%増の25億62百万円、専門店が同48.8%増の53億39百万円、その他が同24.4%増の9億22百万円、FC部門が同11.6%増の29億56百万円である。
月次売上動向(国内直営店、前年比速報値)を見ると、16年6月は全業態全店108.4%、既存店97.1%(焼肉96.0%、ラーメン101.1%、お好み焼101.9%、専門店95.1%)で、既存店は2ヶ月連続の前年割れだった。ただし通期ベース(15年7月〜16年6月累計)は全業態全店115.3%、既存店101.1%(焼肉100.3%、ラーメン103.3%、お好み焼102.4%、専門店101.6%)となり、既存店は前年比プラスを維持した。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.6%、営業利益が72.0%、経常利益が69.8%、純利益が75.4%と順調な水準だった。そして今期(17年6月期)も既存店の堅調推移や新規出店で収益拡大が期待される。
■株主優待制度は6月末と12月末の年2回実施
株主優待制度は年2回(毎年6月末および12月末)1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。
優待内容は100株以上所有株主に対してお食事ご優待券2500円相当またはお米2.5kg、300株以上所有株主に対してお食事ご優待券5000円相当またはお米5.0kg、600株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万円相当またはお米10.0kg、900株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万5000円相当またはお米15.0kgを贈呈する。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価の動きを見ると戻り高値圏5000円〜5500円近辺でモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げて自律調整一巡感を強めている。
7月20日の終値5450円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS239円60銭で算出)は22〜23倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間55円で算出)は1.0%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1751円18銭で算出)は3.1倍近辺である。時価総額は約327億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を素早く回復した。自律調整が一巡して3月の年初来高値5900円、さらに15年12月の上場来高値5980円を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)
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