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2017年10月02日

生化学工業は年初来高値更新してフシ突破、18年3月期大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。9月28日にはSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験の開始を発表している。株価は年初来高値を更新して上値フシを突破した形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。なお11月7日に第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験が17年3月終了した。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお9月28日にはSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)の開始を発表している。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■18年3月期通期は海外が牽引して大幅増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。

 第1四半期(4〜6月)は売上高が前年同期比9.3%減収、営業利益が2.3倍増益、経常利益が3.1倍増益、純利益が3.2倍増益だった。国内アルツの前年同期における出荷集中の反動、一部の海外販売提携先における在庫調整の影響で減収だったが、研究開発費の一部が第2四半期(7〜9月)以降にずれ込んで大幅増益だった。通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.8%、営業利益58.3%、経常利益33.5%、純利益34.2%である。通期でも好業績が期待される。

■株価は年初来高値更新して上値フシ突破

 株価は9月29日に年初来高値となる2039円まで上伸した。2000円近辺のフシを突破した形だ。そして15年2月高値2396円に接近している。

 9月29日の終値2034円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は42〜43倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1156億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:06 | アナリスト水田雅展の銘柄分析