メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開している。民間最大級の大規模診療データベースを活用して治験事業などにも進出している。1月15日にはマーソ社との資本業務提携を発表した。17年12月期大幅増収増益予想で18年12月期も収益拡大が期待される。株価は戻り歩調で17年6月高値を目指す展開が期待される。なお2月13日に17年12月期決算発表を予定している。
■医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開
医療分野のビッグデータ関連ビジネスとして、医療機関向けに医療情報システムを開発・販売するデータネットワークサービス、および製薬会社向けに各種データ分析ツール・サービスを販売するデータ利活用サービスを展開している。
データネットワークサービスで医療機関向けに医療情報システムを販売するとともに、2次利用許諾を得た患者の医療・健康関連情報を集積する。そして集積した各種情報を分析し、データ利活用サービスとして主に製薬会社向けに提供するビジネスモデルだ。
17年12月末の大規模診療データベース実患者数は16年12月末比394万人増加の2117万人となった。民間最大級の大規模診療データベースを活用してOTC医薬品・H&BC製品の製造販売、SMO事業などの新規分野への事業展開も推進している。
なおデータネットワークサービスでは16年12月期から、営業の主軸をDPC分析「EVE」から、病院向け経営支援「Medical Code」にシフトしている。また新規分野として、病院向けデジタルソリューション「CADA−BOX」の導入を推進している。患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者が自由に支払条件を設定できる医療費後払いサービスの「CADA決済」を、電子カルテと連動させて活用するサービスだ。データ利活用サービスはオーダーメード調査・分析サービス「アドホック」を主力としている。
17年9月時点の導入病院数は、EVEが16年12月末比8増加の799病院、Medical Codeが22増加の246病院、CADA−BOXが3病院となった。なおCADA−BOXは17年12月、九州地区初となる博愛会相良病院、関東地区初となる友愛記念病院への導入が決定した。
医療機関からのシステム利用料・メンテナンス費用、および製薬会社からのサービス対価(システム利用料含む)が収益源で、16年12月期事業別売上構成比はデータネットワークサービス55%、データ利活用サービス45%だった。収益面では特にデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性がある。
■成長の第4フェーズで17年12月期から投資回収
中期成長イメージでは17年12月期〜19年12月期を、成長の第4フェーズとして投資回収期に位置付けている。患者のリアルタイムデータ、地域医療の診療データ・画像データなども統合してデータ利活用ビジネスの急拡大を図り、売上高の増加とともに投資回収を開始する方針だ。
重点取り組みとして、2次医療圏344病院へのCADA−BOX導入、データ基盤のさらなる拡大、データ利活用ビジネスの拡大、M&Aを含めた他社との協業を推進する。データ利活用の新領域では治験分野を推進する。
17年1月医師向け会員型サービスのDoctorbookを子会社化、17年2月OTC医薬品・H&BC製品製造販売のMDVコンシューマー・ヘルスケア設立、17年6月SMO業務のコスメックスを子会社化、17年11月テクマトリックス<3762>と業務提携した。
1月15日には、国内最大級の人間ドック・健診予約ポータルサイト「MRSO」を運営するマーソ社との資本業務提携を発表した。「カルテコ」と「MRSO」を連携したサービスを共同開発する。
■17年12月期大幅増収増益予想、18年12月期も収益拡大期待
前期(17年12月期)連結業績予想(2月13日公表)は売上高が前々期(16年12月期)比36.8%増の36億円、営業利益が25.9%増の5億42百万円、経常利益が29.9%増の5億40百万円、純利益が74.9%増の3億11百万円としている。
営業人員を積極採用し、投資回収に向けた積極的な営業活動で基盤事業を再成長させるとともに、新規事業の収益化も推進する。採用拡大(約40名)による人件費の増加や、東京オフィス増床に伴う一時的費用などを吸収して5期連続増収増益予想である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比21.8%増の21億09百万円、営業利益が38.6%増の1億71百万円、経常利益が37.9%増の1億68百万円、純利益が0.2%減の75百万円だった。
データネットワークサービス、データ利活用サービスとも好調に推移して大幅増収となり、営業利益と経常利益は人件費や広告宣伝費などの増加を吸収して大幅増益だった。売上総利益率は78.8%で0.2ポイント低下、販管費比率は70.7%で4.1ポイント低下した。純利益は減損損失16百万円の計上や税金費用の増加で微減益だった。
データネットワークサービスの売上高は11.0%増の11億08百万円(パッケージが1.3%増の4億05百万円、メンテナンスが8.5%増の6億48百万円、新規が54百万円)だった。データ利活用サービスは36.5%増の10億円(MDV analyzerが14.8%増の2億21百万円、アドホックが41.3%増の7億12百万円、新規が86.4%増の66百万円)だった。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が58.6%、営業利益が31.5%、経常利益が31.1%、純利益が24.1%である。低水準の形だが、特にデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性があるためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。そして今期(18年12月期)も収益拡大が期待される。
■株主優待制度は12月末に実施
株主優待制度は毎年12月31日現在の100株(1単元)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。配当は患者のリアルタイムデータ集積によるデータ利活用サービスの拡大に目途がついた段階で検討していく方針だ。
■株価は戻り歩調で17年6月高値目指す
株価(17年5月1日付で株式2分割)は17年11月の直近安値1820円から切り返して戻り歩調だ。1月12日には2541円まで上伸した。そして17年6月の上場来高値2863円に接近している。
1月15日の終値2430円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS16円34銭で算出)は149倍近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績に株式2分割を考慮した連結BPS140円44銭で算出)は17倍近辺である。時価総額は約486億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスも接近している。17年6月高値を目指す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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2018年01月16日
メディカル・データ・ビジョンは戻り歩調、18年12月期も収益拡大期待
【アナリスト水田雅展の銘柄分析の最新記事】
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