エラン<6099>(東1)は、前日7日に一時2846円まで買い進まれ続伸したあと、大引けでは上げ幅を縮め4円高の2802円となったが、日経平均株価が、米国の中間選挙の結果が判明し8日の米国市場への様子見姿勢を強めて大引けにかけ下落したなかで前日比プラスをキープした。同社株は、明9日に今2018年12月期第3四半期(2018年1月〜9月期、3Q)決算の発表を予定しているが、これまで中間決算(第2四半期、2018年1月〜6月期、2Q)累計業績を2回、12月期通期業績を1回それぞれ上方修正してきただけに、3Q決算発表時に都合4回目の業績上方修正などを期待して下げ過ぎ訂正買いが増勢となった。とくに今年8月の12月期通期業績の上方修正では、同時に期末配当の増配も発表しており、明9日の3Q決算発表が注目されている。
■CSセットの導入施設数は年率29%、月間利用者数は年率34%と高成長
同社業績の再三の上方修正は、「手ぶらで入院」、「手ぶらで退院」を可能とする入院生活に必要な衣類、タオル、身の回り品を提供するサービス「CS(ケア・サービス)セット」の導入施設数、月間利用者数が高成長していることを背景としている。新規導入施設数の増加により契約施設数は、2Q期末の今年6月に1050施設数と年率29.1%、月間利用者数も、同じく17万4933人と年率34.7%とそれぞれ高成長をした。このため今期2Q累計業績が、期中の2回の上方修正値を上ぶれて着地したのに続き、12月期通期業績を上方修正した。売り上げは、西日本豪雨災害に伴う新規施設の導入時期の延期などから期初予想より1億6000万円引き下げたが、営業利益、経常利益を各1億6000万円、純利益を9000万円引き上げ、売り上げ185億円(前期比19.6%増)、営業利益11億5000万円(同26.0%増)、経常利益11億5000万円(同24.5%増)、純利益7億6000万円(同15.5%増)と連続して過去最高を更新する。
しかし今年7月2日に東京支店を開業したのに続き、11月1日には南九州営業所を開設してより地域密着型の営業を強化し、今期通期のグループ全体の新規導入施設数を200施設と計画、2Q累計の58施設に対しても下期積極型となっているだけに、明9日の3Q決算発表時の通期業績の再上ぶれ期待を強めている。さらに同社は、グループ全体で2019年末までに導入施設数を1500施設、長期ビジョンでは3000施設を目指し、CSセットに医療費用保障サービスを付帯する新商品の「CSセットR」を開発し導入準備を開始するなど成長戦略を推進しており、来期以降の業績高成長も想定範囲内となってくる。
■直近調整幅の3分の1戻しをクリアもなお25日線からは5%超のマイナスかい離
株価は、今期2Q累計業績の第1回目の上方修正に続く7月の2回目の上方修正で年初来高値3545円まで買い進まれたが、8月の12月期通期業績の上方修正、期末配当の増配では、世界同時株安の波及で下値を探る限定的な反応となり、その後、3430円の戻り高値へ買い直される場面もあったが、10月の全般急落相場の影響を受け10月30日に2455円安値まで再調整した。足元では、同安値から400円超幅のリバウンドをして年初来高値から直近安値までの調整幅の3分の1戻しをクリアし早期立ち直りを示唆していたところである。それでも25日移動平均線からは5%超のマイナスかい離と下げ過ぎを示唆しており、一段の戻りにトライ、まず直近調整幅の半値戻しの3000円大台を奪回し、相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)
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2018年11月08日
【編集長の視点】エランは明9日の3Q決算発表を前に通期業績再上ぶれ期待を高め下げ過ぎ訂正の続伸
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