テンポイノベーション<3484>(東1)は、飲食業を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。20年3月期は増収増益予想である。第3四半期累計は大幅増益と順調だった。通期も収益拡大を期待したい。株価は高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月13日〜18日に立会外分売(10万株)を実施予定である。
■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業
首都圏(特に東京都)において、飲食業を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。仲介ではなく、サブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーとして店舗転貸借に特化している。
不動産オーナーにとっては賃貸料収入安定、不動産会社にとっては収益機会獲得、店舗出店者にとっては出店費用削減、店舗撤退者にとっては閉店コスト削減というメリットがある。転貸借物件数増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。19年12月末時点の転貸借物件数は1634件となった。
なおクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。また20年3月期第2四半期から報告セグメントに不動産売買事業を追加した。不動産業者との関係強化を目的として、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行う。
■20年3月期増収増益予想で3Q累計順調
20年3月期業績(非連結)予想は売上高が19年3月期比21.7%増の100億17百万円、営業利益が9.2%増の8億01百万円、経常利益が12.3%増の8億02百万円、純利益が7.0%増の5億45百万円としている。配当予想(2月3日に期末2円増額修正)は、19年12月11日付株式2分割遡及換算後で19年3月期比2円増配の9円(期末一括)としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比22.9%増の74億31百万円、営業利益が20.6%増の6億65百万円、経常利益が30.2%増の6億89百万円、純利益が31.6%増の4億81百万円だった。販管費が増加したが、転貸借物件数が順調に増加(239件増の1634件)し、不動産売買における高粗利案件も寄与して大幅増収増益だった。なお不動産売買は第4四半期計上予定の案件が第3四半期に前倒しになったとしている。
第3四半期累計の進捗率は売上高74.2%、営業利益83.1%と順調である。通期(期末の転貸借物件数は19年3月期末比281件増加の1740件の計画)も収益拡大を期待したい。
■総合利回りが大幅に向上
前期の配当は、1株当たり7円(株式分割の影響調整後の数値)で、優待は未実施であったため、20年1月末時点の終値をベースにした参考配当利回り及び総合利回りは0.83%となる。
一方、今期においては、配当は1株当たり9円(株式分割の影響調整後の数値)で、優待は3月31日時点で同社株式100株以上を保有する株主に対して全国共通お食事券ジェフグルメカード3000円を贈呈するため、同じく20年1月末時点の終値をベースにした参考配当利回りは1.07%、優待利回り(100株保有時)は3.55%、総合利回りは4.62%と総合利回りが大幅に向上する見込み。
■ESG活動を活発化
同社ならではの特徴のあるESGへの積極的な取り組みとして、19年6月より飲食店を活用したこども食堂「お店のこども食堂」を企画・展開。参加店舗数は19年9月時点で4店舗、同年12月時点で9店舗、20年1月時点で15店舗と急速に増加している。
■株価は調整一巡
株価は高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。2月4日の終値は917円、今期予想PER(会社予想EPS30円60銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想9円で算出)は約1%、時価総額は約163億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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2020年02月05日