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2020年07月03日

ハウスドゥは調整一巡

 ハウスドゥ<3457>(東1)は、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。

■ストック収益型事業が収益柱

 収益構造は、人員の増員が必要な労働集約型事業(不動産流通事業、リフォーム事業、不動産売買事業)から、ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入などが積み上がるストック収益型事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、および不動産担保ローン事業やリバースモーゲージ保証事業などの金融事業)にシフトしている。ストック収益型事業の利益構成比は16年6月期の43%から、19年6月期には71%まで拡大して収益柱に成長した。

 19年6月期末のフランチャイズ事業加盟契約数は602店舗だった。中期的には国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。

 ハウス・リースバック事業の保有物件数は314件、保有総額は51億77百万円だった。物件は首都圏・中部・近畿の3大都市圏で約9割を占めている。金融事業の担保融資残高は81億63百万円、リバースモーゲージ保証残高は26億14百万円だった。リバースモーゲージ保証事業は提携金融機関を順次拡大している。

 ハウス・リースバックで取得した収益不動産物件を対象として、不動産特定共同事業法スキームによる匿名組合方式の不動産ファンド「HLBファンド1号」を組成している。19年12月には子会社フィナンシャルドゥが金融商品取引業(第二種・助言代理業)の登録を完了した。

■ハウス・リースバック事業や保証事業を強化

 中期経営計画では目標数値を、22年6月期売上高437億61百万円、営業利益47億66百万円、経常利益45億円、純利益29億70百万円としている。

 重点戦略として、ハウス・リースバック事業の更なる取り扱い強化、保証事業(リバースモーゲージ保証・事業性融資保証・賃貸保証サービス)の強化、レントドゥ!の国内1000店舗への強化、空家活用の時間貸し「タイムルーム」の強化、海外展開の着手、国内M&Aへの積極的取り組みを推進する。

 M&A・アライアンスでは、19年6月エアトリステイおよびAirbnbと加盟店の空室活用で包括的業務提携、19年7月三井住友海上火災保険とFC加盟店対象の包括賠償制度「FC Triple Guard」を開発・提供開始、19年8月埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介などを展開する小山建設グループを子会社化した。なお20年7月1日付で、子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。

■20年6月期増収増益予想

 20年6月期の連結業績予想は、売上高が19年6月期比18.0%増の372億21百万円、営業利益が11.5%増の35億21百万円、経常利益が9.9%増の33億円、純利益が8.6%増の21億78百万円としている。配当予想は3円減配の34円(期末一括)である。

 セグメント別の計画は、フランチャイズ事業が11.1%増収・10.0%増益、ハウス・リースバック事業が7.8%増収・3.2%増益、金融事業が52.7%増収・20倍増益、不動産売買事業が7.4%増収・11.7%増益、不動産流通事業が4.0%増収・5.8%増益、リフォーム事業が0.1%減収・3.0%減益である。この他に小山建設グループが新規連結(売上高31億62百万円、営業利益3億37百万円の計画)となる。またハウス・リースバック事業の資産売却が下期に集中するため、下期偏重の計画である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比6.4%増の229億55百万円だが、営業利益が40.4%減の11億42百万円、経常利益が41.2%減の10億55百万円、純利益が48.6%減の6億43百万円だった。

 フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業が牽引して増収だが、不動産売買事業、リフォーム事業が消費増税や新型コロナウイルスの影響を受けた。さらに成長強化事業への投資による人件費や広告宣伝費の増加、M&A関連費用の増加などで大幅減益だった。

 なお第3四半期累計の利益進捗率は低水準の形だったが、20年6月にはハウス・リースバック資産の流動化に関して、HLB6号への不動産信託受益権譲渡(対象不動産件数214件、譲渡価格39億19百万円、帳簿価格30億85百万円)が完了している。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末の株主対象

 株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。株主優待ポイント表に基づいて進呈されるポイントを、株主限定特設インターネット・サイト「ハウスドゥプレミアム優待倶楽部」において、食品や電化製品などと交換(詳細は会社HP参照)できる。

■株価は調整一巡

 株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。7月2日の終値は846円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS112円08銭で算出)は約8倍、前期推定配当利回り(会社予想34円で算出)は約4.0%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS577円84銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約165億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:22 | アナリスト水田雅展の銘柄分析