夢真ホールディングス<2362>(JQ)は建設技術者派遣や製造・IT業界向けエンジニア派遣を展開している。20年9月期(IFRS任意適用)は増収増益予想としている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が意識されるが、収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く戻り一服となったが、調整一巡して出直りを期待したい。なお8月7日に第3四半期決算発表を予定している。
■建設技術者派遣を主力にエンジニア派遣も展開
建設技術者(建設現場の施工管理技術者)派遣を主力として、製造・IT業界向けエンジニア派遣、その他(人材紹介、フィリピン現地人材への日本語教育、ベトナム現地人材の採用支援、ITエンジニア育成等)も展開している。19年10月純粋持株会社体制に移行した。
19年9月期の売上高構成比は建設技術者派遣68%、エンジニア派遣29%、その他2%で、期末の建設技術者数は6099人、エンジニア数は3640人だった。なお20年9月期から、セグメント区分を建設技術者派遣および付随事業、エンジニア派遣および付随事業、その他とする。
19年10月には子会社の夢テクノロジーが外国人人材受け入れ制度における登録支援機関の認定を受けた。19年12月にはグループの稼働人数が9000名を突破した。20年5月には、子会社の夢真が運営(18年8月オープン)している建設業界特化求人サイト「俺の夢」のサイト閲覧数が累計700万PVを達成した。
■中期成長に向けてM&Aも積極活用
成長に向けてM&A・アライアンスも積極活用している。19年4月ITエンジニア派遣のインフォーメーションポートを子会社化、社会人向けオンラインプログラミング学習サービスの侍を子会社化、19年6月子会社の夢テクノロジーがシステム開発のBlueMemeと業務提携、19年7月ITエンジニア派遣のガレネットを子会社化、20年4月システムエンジニアサービスのアローインフォーメーションを子会社化した。
中期経営計画(19年9月期〜21年9月期)では、目標値に21年9月期売上高762億円、営業利益100億円、純利益68億円を掲げている。株主還元策は18年9月期以降、1株当たり配当額35円以上を維持する。ROEは30%以上を目指す。
セグメント別の計画は、建設技術者派遣の売上高580億円、営業利益80億円、期末技術者数7800人、エンジニア派遣の売上高250億円、営業利益18億円、期末技術者数5500人としている。
■20年9月期増収増益予想
20年9月期の連結業績予想(第1四半期〜第3四半期は日本基準、通期からIFRSを任意適用、5月11日に下方修正してレンジ予想)は、売上高が580億円〜600億円、営業収益が58億円〜66億円、親会社所有者帰属当期利益が37億円〜42億円としている。配当予想は19年9月期と同額の35円(第2四半期末15円、期末20円)である。
新型コロナウイルスの影響で、工事の一時中断・延長、派遣先の人員調整などにより、新規稼働の減少や稼働決定スピードの鈍化が想定されるとして、レンジ予想(6月以降の採用活動を通常ペースに戻した場合、20年9月期末まで採用ペースを抑制した場合の2パターンを想定)である。なお特別損失には、フィリピンの子会社に係るのれん減損損失4億19百万円を計上する見込みだ。
セグメント別計画は、建設技術者派遣の売上高が377億円〜390億円410億円、利益が62.5億円〜68億円、期末在籍人数が5040人〜5700人、エンジニア派遣の売上高が193億円〜200億円、利益が6.5億円〜9億円、期末在籍人数が3290人〜3690人としている。
第2四半期累計(日本基準)は、売上高が前年同期比23.5%増の302億64百万円で、営業利益が27.8%増の33億78百万円、経常利益が30.3%増の34億29百万円、純利益が5.6%減の16億21百万円だった。
第2四半期累計は概ね計画水準で着地した。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が意識されるが、通期も収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は廃止
株主優待制度については20年5月に廃止を発表(詳細は会社HP参照)した。公平な利益還元という観点などから総合的に検討し、配当による利益還元を安定的に実施していくことを優先する。
■株価は調整一巡
なお3月10日発表の自己株式取得(上限160万株・10億円、取得期間20年3月17日〜20年6月16日)は、累計取得株式数80万株で終了した。
株価は反発力が鈍く戻り一服となったが、調整一巡して出直りを期待したい。7月3日の終値は561円、今期予想連結PER(会社レンジ予想の上限連結EPS55円22銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約6.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS155円75銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約442億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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2020年07月06日