カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。中期成長に向けて国内営業基盤の拡充、海外展開、内部オペレーション最適化を推進している。20年10月期は先行投資などで減益予想としている。当面は新型コロナウイルスによる工事進捗遅れの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は着実に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。
■建設機械レンタル大手
建設機械レンタルの大手である。建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。
19年10月期の売上高構成比は建設関連事業89.6%、その他事業(鉄鋼関連事業、情報通信関連事業、福祉関連事業など)10.4%、営業利益構成比(連結調整前)は建設関連事業94.8%、その他事業5.2%だった。
収益面では公共工事の影響を受けやすく、建設関連のため売上高が第4四半期(8〜10月)から第1四半期(11月〜1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2〜4月)および第3四半期(5〜7月)は減少する季節特性がある。
■中期経営計画で24年10月期営業利益230億円目標
中期経営計画「Creative 60」では、目標値として24年10月期売上高2280億円、営業利益230億円、営業利益率10.1%などを掲げている。
重点施策として、グループ総力を結集した国内営業基盤の拡充、海外展開とカナモト版グローバルプラットフォームの確立、内部オペレーション最適化とレンタルビジネスの収益性向上を推進している。
19年9月小松土木通商(石川県)を子会社化、19年10月子会社ユナイトが九州ロード(熊本県)を子会社化、19年12月子会社アシストが什器備品・ウォーターサーバーレンタルのコムサプライ(北海道)を子会社化した。20年4月には山本製作所(福岡県大牟田市)の建機事業を譲り受けた。
20年5月には特機エンジニアリング部荒尾機械センター(熊本県荒尾市)を開設し、営業拠点数は204拠点、グループ合計で522拠点となった。
■20年10月期減益予想
20年10月期連結業績予想は売上高が19年10月期比1.1%増の1827億円、営業利益が9.8%減の161億円、経常利益が10.3%減の164億円、純利益が13.4%減の99億円としている。配当予想は19年10月期と同額の65円(第2四半期末25円、期末40円)である。
中期経営計画の目標達成に向けた体制強化の期間と位置付けて、レンタル用資産の運用期間延長、人事制度改革による積極的な人財投資などを見込んでいるため減益予想としている。
第2四半期累計は売上高が前年同期比0.5%減の914億14百万円、営業利益が18.0%減の92億39百万円、経常利益が21.4%減の90億46百万円、純利益が26.3%減の53億44百万円だった。
事業環境は比較的堅調に推移したが、新型コロナウイルスによる一部工事の休止・延期の動きに加えて、レンタルビジネス収益性向上に向けた中古機械販売抑制、人財投資なども影響して減益だった。建設関連事業は0.6%増収だが18.5%減益、その他は9.8%減収で15.3%減益だった。
第2四半期累計の進捗率は売上高が50.0%、営業利益が57.4%と概ね順調だった。当面は新型コロナウイルスによる工事進捗遅れの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は着実に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。7月6日の終値は2436円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS256円26銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想65円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2981円68銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約944億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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2020年07月07日