タケエイ<2151>(東1)は、前日6日に前日比変わらずの1108円で引けた。同社株は、今年9月4日払い込みで実施した新株式発行と株式売出しを嫌って、希薄化・需給悪化懸念を強めて窓を開けて急落し、10月30日に発表した今2021年3月期業績の上方修正で需給悪を吸収し下げ過ぎ訂正に動いているが、信用買い残がやや積み上がっていることから売り買いが交錯した。ただPERは14倍台と相対的に割安で、米国の大統領選挙で環境派のバイデン前副大統領が優勢なことから、同社のバイオマス発電に再生エネルギー株人気が再燃する展開も想定され、押し目買いも一考余地がありそうだ。
■建設廃棄物事業が続伸し新規バイオマス発電所も順調に稼働開始
同社の今2021年3月期業績は、売り上げを期初予想据え置きの410億円(前期比8.7%増)としたが、営業利益を3億円引き上げて37億円(同12.2%増)、経常利益を3億円アップさせて34億5000万円(同14.6%増)、純利益を1億7000万円上乗せして19億4000万円(同9.9%増)として連続増益率を伸ばす。建設廃棄物処理事業では、引き続き東日本大震災の復興プロジェクト向けが順調に推移し、再生エネルギー事業では東北地方の3バイオマス発電所が好調に推移したほか、今年4月からタケエイグリーンリサイクルが売電を開始し、第2四半期から子会社化した市原グリーン電力が順調に稼働を開始したことなどが寄与した。
なお新株式発行(発行価格949円)などで調達した約49億円は、産業廃棄物処理場の処理能力拡充やバイオマス発電所の増設などの成長投資の原資に充当、こうした成長投資により中期経営計画の最終年度の2023年3月期には売り上げ470億円、営業利益52億円、純利益28億円を目指している。なお今期配当は、公募増資発表時に配当性向25%超を目標にしている配当政策に従って年間30円(前期実績20円)に増配している。
■公募増資で開けた窓を埋め25日線固めから昨年12月高値奪回へ
株価は、昨年10月に前期業績を上方修正したことで昨年来高値1338円まで300円高し、年明け後はコロナ・ショック安と配当権利落ちで年初来安値665円へ突っ込んだ。同安値からは市原クリーン電力の子会社化などで底上げ転換し、今期業績の続伸予想、第1四半期の好決算などが続いて1200円まで上値を伸ばしたが、公募増資発表で窓を開けて944円安値へ再調整した。この間、信用の売り残・買い残が増加して拮抗する好需給となり売り方の買い戻し主導と業績の上方修正で1167円までリバウンドして窓を埋め、足元では25日移動平均線を固める動きが続いている。前期業績の上方修正時の上げ幅に比べても今回の上昇は限定的にとどまっており、バイデン関連人気や菅内閣の「2050年カーボン(二酸化炭素)実質ゼロ」の目玉政策も加わり再生エネ関連株買いが増勢となり、まず昨年12月高値1338円を目指そう。
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2020年11月06日